どうなる三賞!?ガラリと変わった審判部メンバーの視点

[ 2016年5月4日 12:00 ]

大相撲

 大相撲夏場所は5月8日に初日を迎える。春場所で4場所ぶりに賜杯を奪還した横綱・白鵬が37度目の優勝を飾るのか、それとも、春場所で13勝を挙げた大関・稀勢の里がハイレベルな優勝を果たして和製横綱が誕生するのか。優勝争いが一番の話題となるのはどの場所も同じだが、それ以外で記者が興味を抱いているのは、三賞の行方だ。

 三賞は関脇以下の成績優秀な幕内力士(勝ち越しが絶対条件)に送られ、審判部の親方と記者らで構成される三賞選考委員会によって受賞者が決められる。殊勲賞は優勝者や横綱から白星を挙げた力士に送られ、敢闘賞は2桁勝利が一つの目安。技能賞は優れた技能を披露した力士が評価の対象となる。

 三賞が制定されたのは1947年(昭22)。しばらくは各賞1人ずつ受賞していたが、近年は該当者なしの場所も多い。平成以降の163場所で該当者がなかったのは、殊勲賞が48場所(全体の29・4%、年6場所平均で1・77場所)、敢闘賞が9場所(5・5%、0・70場所)、技能賞が42場所(25・8%、1・55場所)となっている。

 横綱を倒しても負け越す場合があるだけに、殊勲賞の該当者なしが多いのは納得できる。だが、技能賞の受賞者がこれほど少ないのは驚くばかりだ。しかも2013年(平25)以降はその傾向が顕著となり、先場所までの20場所で該当者なしは15場所を数える。その間に受賞したのは妙義龍、千代大龍、安美錦、嘉風(2回)の4人だけ。ファンから「最近は抜群の技能を持つ力士が減ってしまったのか」と思われても仕方がない。

 最近の三賞選考委員会では、ある力士が技能賞候補に挙がった際に「雑な相撲も多い」という“引き算”によって選出されなかったこともあった。総合的見地、他の場所との比較では候補を挙げにくくなるというのは分からなくはない。ただ、その場所で最も技能が光った力士を表彰するという見方に変えれば候補者は出てくるはずで、複数が挙がった場合はその中から一人を選べばいいのではないか。

 今場所は突き押しの威力が増した琴勇輝、右差しにたけた勢が新関脇となり、右上手を引けばうまさを発揮する遠藤は再入幕となった。他にも一芸に秀でた力士や技能相撲と言っていい力士は多数いる。日本相撲協会の役員改選により、今場所から審判部の面々は様変わりした。今後の三賞選考の流れが決まる場所といっても過言ではないだけに、新たに三賞選考委員会に参加する親方衆がどういう視点で候補者を推薦するのか。今から楽しみにしている。 (記者コラム・佐藤 博之)

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2016年5月4日のニュース