リオ五輪でも見てみたい 渡辺彩香にある勝負どころの心の強さ

[ 2016年1月20日 08:20 ]

2016年も期待のかかる渡辺彩香

 毎年1月は羽田、成田の国際線ターミナルに足を運ぶ機会が増える。プロゴルファーたちがオフシーズンの合宿などで海外に出発するからだ。ツアー通算3勝の渡辺彩香(22)も羽田から米ロサンゼルスへ旅立った1人。話してみるとゆる~い笑い方がなんとも可愛らしい22歳だが、昨季はその芯の強さに何度も驚かされた。

 10月の樋口久子pontaレディース。渡辺彩香は2日目を終えて茂木宏美、そしてアマチュアの畑岡奈紗と並んで首位に立った。アマの畑岡はこれがツアー初出場。初日も首位だったため、優勝すればアマチュアがツアー初出場で完全優勝を達成するということになる。「プロとして絶対に負けられないと思った」と闘志はメラメラ。最終日は同組の畑岡に7バーディー(1ボギー)を奪う圧巻のゴルフを見せつけ、4月のヤマハ・レディースに続くシーズン2勝目を挙げた。 

 12月に日本で行われた4ツアー対抗戦「クイーンズ」でも心の強さを発揮した。クイーンズは日本、韓国、欧州、オーストラリアの各ツアー代表がマッチプレーで勝敗を争う新規大会。日本はチームワークを生かして3日目を終えて2位の韓国に8点の大差をつけていた。最終日はシングルス戦が行われたが、イ・ボミが主将を務める韓国が猛追。一時は2点差まで詰め寄られた。渡辺も「自分の勝敗が大事と13番くらいから分かっていた」と雲行きが怪しいことは承知していた。だが、「とにかく自分が勝てば、とだけ考えていた。気持ちだけは負けないようにと思っていた」。相手のチョ・ユンジ(韓国)と同点で迎えた17番でバーディーパットを決めて1アップとすると、最終18番も2メートルにつけた相手に対して5メートルのパットを執念でねじ込み勝利。渡辺が外して相手が入れれば同点で最後に追い付かれる可能性もあっただけに、優勝の立役者はチームメートにハグで祝福されながら涙を流し喜んだ。

 さて、渡辺は羽田から男子プロの丸山茂樹が暮らす米ロサンゼルスを訪問。昨年9月から弟子入りしており、「アプローチを100ヤード以内のショットを中心にやりたい」と課題のショートゲームの指導を受けることを明かした。丸山はリオデジャネイロ五輪日本代表ヘッドコーチを務めるが、「目標の1つになってくる。目指したい」と意欲満々だ。平均飛距離約270ヤードの長距離砲が繊細な小技を身に付ければ鬼に金棒だろう。大舞台でもひるまない心の強さをリオでも見てみたい。(井上 侑香)

続きを表示

2016年1月20日のニュース