祖父は元横綱 琴鎌谷 初土俵で白星 親方は「どきどきです」

[ 2015年11月10日 09:37 ]

<大相撲九州場所3日目>前相撲で横江(左)を上手出し投げで破った琴鎌谷

 大相撲の九州場所(福岡国際センター)3日目に前相撲が行われ、佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)の長男で、母方の祖父が元横綱・琴桜(故人)という血を受け継ぐ琴鎌谷(17=佐渡ケ嶽部屋)が初土俵を勝利で飾った。

 対戦相手となった横江(武蔵川部屋)の立ち合いの当たりを冷静に受け止めると、開始から5秒で左から上手出し投げ。「少し緊張したけど、しっかり取れたので良かった。まずまずかな」と納得の表情で振り返った。

 1メートル86、147キロの堂々たる体格を誇る琴鎌谷は、強豪・埼玉栄相撲部の主将を務め、今夏の高校総体でチームを日本一に導いた。プロとアマチュアの違いについては「アマチュアは最低でも1日5番以上相撲を取る。1番にかける思いが全然違う」と感想を述べた。ちょうど10年前の05年九州場所。当時8歳だった鎌谷少年は会場の福岡国際センターで父・琴ノ若の現役最後の一番を見守っていた。帰りの車に同乗すると負けた父から「琴ノ若を継いでくれよ」と告げられ、その瞬間「次は自分」と角界入りを強く心に誓ったという。

 その九州場所でプロとしての第一歩を踏み「1場所1場所頑張って1つ1つ番付を上げていきたい。基本は四つ相撲だけど、突きでも何でもできるようにしていきたい」と意気込んだ。

 実家の佐渡ケ嶽部屋で3歳からまわしを締め、母方の祖父である先代師匠(元横綱・琴桜)からは「早く関取になれ。自分次第だぞ。しっかり頑張れ」と四股の踏み方を教えてもらっていた。10歳で強豪・埼玉栄の山田道紀監督と出会い、自らの意志で中学から相撲留学。当初は中卒後に入門する予定だったが「まだプロに行っても通用しない。高校に行かせてください」と父に懇願した。すると「一生懸命頑張ってこい」と背中を押された。高校2年までは芽が出なかったものの、主将に抜てきされた3年時に一気に開花した。

 この日、館内で見守った師匠・佐渡ケ嶽親方は「ちょっと硬かったかな。見ている方はどきどきです」と振り返るとともに「先代のような相撲を取ってほしい」と期待した。来場所は序ノ口力士として番付に初めてしこ名が書かれ、順調に三段目まで昇進できれば「琴ノ若」を継ぐ予定。大関以上になれば祖父の「琴桜」を継承する。

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2015年11月10日のニュース