五輪決定の男子セブンズ困った!TL開幕でWSに全選手そろわず

[ 2015年11月10日 05:30 ]

一夜明け優勝を喜ぶ男子7人制ラグビー日本代表の選手たち

 7人制ラグビーのリオデジャネイロ五輪アジア予選香港大会に優勝し、五輪出場権を獲得した男子日本代表が9日、羽田空港着の航空機で帰国した。メダル獲得を目指す9カ月後の本番に向けて、今後は強化体制の整備が課題となるが、急きょ参戦が決まった12月4、5日のワールドシリーズ(WS)第1戦ドバイ大会には、今大会に出場した12選手が全員はそろわないことが判明。いきなりつまずく形となったが、日本ラグビー界を挙げて強化体制の構築を急ぐ。

 リオ五輪出場決定から一夜明け、帰国前の香港国際空港で瀬川智広ヘッドコーチは「昨晩は久しぶりに選手たちと酒を飲めた」と語った。一方で今後には「一番難しいのはこれから。これまでは継続してキャンプを張ったが、トップリーグが始まるので難しくなる」と悩める心中を明かした。

 五輪出場を決めた国に、7人制のトップチームが集うWSのドバイセブンズ出場権が与えられることが判明したのは2日の香港入り後。5月末に発表した現代表は一度解散するため、日本協会の意向だけで選手を招集できない。すでに所属チームや大学には大会出場を通知済みというが、本城和彦・五輪セブンズ部門長は「即答で“(代表に)出します”というチームもあれば“勘弁してください”というチームもある。回答のないチームを含め、3分の1くらいずつ」と明かした。

 トップリーグにも譲れない事情がある。今年は15人制W杯の影響で開幕が今月13日にずれ込み、レギュラーシーズンの試合数は14から7試合に半減。1試合の持つ重みが増した。藤田(早大)、合谷(流通経大)ら大学生にとってもシーズンの佳境。12月6日には伝統の早明戦が控え、藤田の参戦は極めて厳しい。

 本城部門長は今後について「4月の昇格大会に勝って(WSに常時出場できる)コアチームに上がれば5月の2大会は出られる可能性がある。あとは国際統括団体、ワールドラグビー(WR)と交渉はするが計算はできない」と先行きは不透明であることを明かした。最悪の場合、WSはドバイセブンズ1戦のみの出場となる可能性もあり、貴重な機会を無駄にできない。

 来年6月には今年4月にイングランドを訪れた15人制W杯代表候補と同様に、リオの視察と本番会場での実戦も計画。強豪国との合宿や練習試合も検討するが、WS参戦に勝る強化策はない。実のある大会にするためにも、日本ラグビー界が一枚岩となる必要がある。

 ▽セブンズワールドシリーズ 99年に創設された7人制ラグビーのツアーシリーズ。12月に始まる新シーズンは全10戦で行われ、総合ポイントで年間総合優勝を争う。1大会には15のコアチームとゲストチーム1の計16チームが出場。日本は昨季は全大会に出場できるコアチームに入っていたが、コアチームで最下位となる年間総合15位で自動降格した。現在、リオ五輪出場が決まっている国では、開催国のブラジルと日本以外は全てコアチームに入っている。

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2015年11月10日のニュース