松岡修造氏が解説 圭が常識を攻略、「赤土=守備型強い」覆した

[ 2015年4月28日 08:50 ]

松岡修造氏

男子テニス バルセロナ・オープン シングルス決勝

(4月26日 スペイン・バルセロナ)
 連覇を果たした錦織をスポーツキャスターの松岡修造氏(47)が解説した。

 1年前との一番の違いは、圭が本物のクレーコートのスペシャリストになったということ。しかも新時代のクレーのスペシャリストだ。

 確かに昨年もこの大会に勝って、マドリード・オープンでは準優勝した。ただ、その後にケガがあって全仏では1回戦負けだった。他の選手たちからしてみれば「まだ本物じゃない」という気持ちだったと思う。それが今大会のプレーを見たら「とんでもなく強い。ハードコートより強い」と感じたはずだ。

 クレーではベースラインよりもかなり下がって構えるのが定石。それを圭はハードコートのような高い位置で、早いタイミングで打っていく。ハードコートよりも時間的な余裕があるので、しっかり構えて打つこともできる。おかげで圭のボールは相当重い。クレーの常識にはないプレーをされては相手はどうしようもないだろう。

 準々決勝、準決勝はクレーが得意なタフな相手をほとんど苦にしなかった。決勝は足の痛さがあって調子は良くなかったが、決勝まで上がってくるほど絶好調の世界66位に、大事なところでちょっとギアを上げれば勝てた。これはもう、とんでもない力の差を感じた。

 テニスの解説者であれば全仏の優勝候補はジョコビッチの次に錦織と言うだろう。これまでクレーコートは守備型の選手が強いのが常識だった。最も守備型のナダルが、全仏最多9回優勝しているのが何よりの証拠でもある。それを攻撃的なプレーヤーが、強打と高い位置取りでクレーを制する新しい時代になりつつある。クレーでのプレーそのものが変わっていく。そう予感させるような圭のバルセロナ連覇だった。(スポーツキャスター)

 ▽クレーコート(レッド) 赤褐色の土によって覆われたコート。英国を除いた欧州と南米で主に採用されている。ハードコートに比べて球が高く弾み、球足が遅くなるためビッグサーバーよりもストローカーが有利になるとされる。単発ではない戦略性や土の上を滑って守るフットワーク技術なども必要。ラリーが長く続きやすく、体力やショットのバリエーションが試される。芝のコートはクレーと対照的に球が弾まず、球足が伸びるためにビッグサーバーに有利とされる。

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