釜石SW、トップリーグ昇格見えた!低迷、震災乗り越え…

[ 2014年12月24日 05:30 ]

<釜石シーウェイブス・中国電力>後半、力強い突進を見せる釜石シーウェイブス・伊藤(中央)

ラグビートップチャレンジ2第3節 釜石シーウェイブス34―24中国電力

(12月23日 秩父宮)
 「北の鉄人」がトップリーグ昇格に大きく踏み出した。1試合が行われ、トップイースト2位の釜石シーウェイブス(SW)が34―24で中国電力(トップキュウシュウ2位)を破り、勝ち点9としてトップチャレンジ1(TC1)へ初進出を決めた。来年1月に4チームで争われるTC1で1位になれば来季のトップリーグ昇格が確定し、2位以下でも入れ替え戦に回る。日本選手権を7連覇した新日鉄釜石のDNAを受け継ぐクラブチームが、ラグビーシーンに戻ってくる。

 かつては1月の国立名物だった大漁旗が、秩父宮で大きく揺れた。後半40分を過ぎ、スクラムからのボールが蹴り出された瞬間に、歓喜のノーサイド。盛衰、休止、低迷、震災。全てを乗り越えてきた人たちの悲願へ、確実に一歩近づいた。

 岩手県大槌町出身で今季から指揮を執る三浦健博ヘッドコーチ(HC)は「試合前に“みんなで歴史をつくろう”と言った。目標を達成できた」と顔を紅潮させた。前半2分に幸先よく先制トライも、2度の逆転を許した。それでも後半19分に元ニュージーランド7人制代表のカマナが逆転トライを奪い、さらに1トライを加え突き放した。

 トップリーグが創設された03~04年シーズンから、その下部であるトップイーストに所属。ただ、昇格争いに加わったのはこの年だけ。長い低迷期に歯止めを掛けようと、三浦HCは「今まできれいなプレーに目が行き、ラグビーの根本から目をそらしていた。コンタクトなど原点に返った」。日本代表歴代5位の62キャップ、43歳の現在もなお80分間フル出場で勝利に貢献したロック伊藤も「ラグビーは格闘技。僕は体を張ることしかできない」と胸を張った。

 19年のW杯開催地にも立候補している釜石市。市内には仮設住宅も並ぶ。三浦HCが「東北や三陸の人に元気を与えられるチーム」と言えば、伊藤も「自分たちが強くなることで、招致の力になりたい」と言った。さまざまな思いを背負い、昇格を実現してみせる。

 ▽トップリーグ昇格への道 トップイースト、トップウエストA、トップキュウシュウの各1位チームがトップチャレンジ1(TC1)に進出。各2位のチームはTC2で3チーム総当たりを行い、1位チームがTC1に進出する。TC1は来年1月に総当たり方式で行われ、1位はトップリーグに自動昇格。2~4位はトップリーグの15~13位と入れ替え戦を行い、勝てば昇格が決まる。

 ▽釜石シーウェイブス 59年に創部され78~84年度に歴代1位タイの日本選手権7連覇を達成した新日鉄釜石が01年を最後に休部したのに伴い、後身として同年に地域密着型のクラブチームとして始動。02年には元日本代表主将のアンドリュー・マコーミック氏(現関学大ヘッドコーチ)を選手として招へい。03年にトップイースト10で2位に入り19年ぶりに日本選手権に出場。最高顧問に元明大主将の高橋善幸氏、チームディレクターに元日本代表の桜庭吉彦氏。

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