勝みなみ JK革命(2)注目浴び硬く…環境激変乗り越え10バーディー

[ 2014年12月24日 09:50 ]

初日11番ホールに向かう途中、宮里藍(左)に顔についたゴミを取ってもらい笑顔の勝

 KKT杯バンテリン・レディースでツアー初優勝した後、勝を取り巻く環境は大きく変わった。

 母・久美さんと食事に出掛けた時の出来事だ。隣の男性客が勝に気づき、顔をのぞき込んできた。家族の食事の席でもリラックスできない。久美さんも「優勝した直後は、ちょっとかわいそうなくらいでしたね」と娘を気遣った。

 地元の鹿児島市内を友人と歩いていても「勝さんだ」と声を掛けられることが増えた。「前は街を制服で歩いたり、友達と遊びに行ってプリクラを撮ったりと普通の高校生の生活をしていたのですが、それができなくなった」と勝は変化に困惑した。そして変装用のダテ眼鏡とマスクを購入した。今でも外出時には必ず身に着けている。

 勝は「最初は戸惑いもあったけど、すぐに慣れました」と言うが、知らず知らずのうちに人から見られていることを意識するようになった。それが悪い形で出たのが5月の国内メジャー初戦ワールド・レディース・サロンパス・カップの初日だ。

 天才アマを一目見ようと5000人近い大ギャラリーが集結した。しかも宮里藍と同組。マイペースな勝が「憧れの選手が目の前にいて、しかも一緒に回っていると思うと体が全く動かなかった」と言うほど硬くなった。周りばかり気にして本来の思い切りのいいスイングができず82の大叩きで115位と出遅れた。

 しかし、この苦いラウンドが復活へのきっかけとなった。予選通過が難しくなったことで「今回は楽しむつもりで、勉強するつもりで精いっぱいやればいいや」と開き直った。もちろん「(ツアーで)優勝したし、ちょっとは予選通過しないと、という気持ちがあった」と周囲の見る目も少し気にはなったが、大叩きで、より自分のプレーに集中することができたのだ。

 5月9日に行われた第2ラウンド。勝は2度目の「革命」を起こした。10オーバーから巻き返すには爆発的なスコアが必要だったが、開き直ったことで、持ち味であるカップをオーバーするような強気のパットが戻った。自分のフォームを冷静に分析することもできた。第1ラウンド終了後に「熊本(バンテリン)の時よりパットを打つ時、頭が上がるのが早かった」とヘッドアップに気づき修正した。そしてメジャー史上最多となる10バーディーを奪ってコースレコードに並ぶ65をマーク。暫定41位に順位を上げ、予選通過を果たした。18番で13メートルのスネークラインをねじ込み10個目のバーディーを決めると「“ドヤ”って感じでした」と笑った。15歳の無邪気な笑顔だった。=続く=

続きを表示

2014年12月24日のニュース