白鵬劇場! 単独トップ&豪栄道のまげつかみに物言い

[ 2014年5月23日 05:30 ]

豪栄道の勝ちとした行司軍配に土俵下から物言いをつける白鵬。右は鶴竜

大相撲夏場所12日目

(5月22日 東京・両国国技館)
 29度目の優勝を狙う横綱・白鵬が大関・稀勢の里との1敗対決を制し単独トップに立った。取組後の結びの一番では、土俵下から横綱・鶴竜と関脇・豪栄道の一番に物言いを付け、史上初となる横綱反則勝ちのきっかけをつくった。優勝争いは1敗の白鵬を1差で横綱・日馬富士、稀勢の里、平幕・勢の3人が追っている。

 両国国技館はまさに“白鵬劇場”だった。結び前の稀勢の里との相星決戦。数々の名勝負を繰り広げてきた2人は、今回も立ち合いから神経戦を展開した。

 先場所、4度目でやっと成立した立ち合い。今場所も3度目にやっと成立したが、勝負の厳しさで上回ったのは白鵬だった。稀勢の里が一度ついた左手を、呼吸が合わないと見て上げたときに、立った。慌てた稀勢の里に、追い打ちを掛けるように張り手。まわしにこだわらず鬼の形相で突き放す。最後は右を差して寄り切った。

 「いい相撲だったんじゃないかな。調子を上げてきた稀勢の里関に、集中してできた」。賜杯の行方を左右する大一番を狙い通りに制した後もその集中力は途切れなかった。勝ち残りで土俵下に戻り、結びの鶴竜―豪栄道戦を注視。はたき込んだ豪栄道の指が鶴竜のまげをつかんでいた動きを見逃さず、物言いを付けた。

 「完全には見えなかったけど、少し(ちょんまげに手が)かかっているのが見えた。審判には見えなかったのか、誰も手を挙げなかったから」。土俵上で5人の審判団が協議。鶴竜の師匠でもある井筒審判長(元関脇・逆鉾)がマイクを持ち、鶴竜の反則勝ちを説明すると、満員御礼の館内は大きくどよめいた。

 取組後、日本相撲協会の電話は判定の問い合わせで30分以上も鳴りっぱなしだったが、同審判長は「初めて見たよ、横綱が手を挙げるの。控えの力士が手を挙げるのはいいこと」と称賛した。

 再び単独首位に立ち、29度目の優勝をぐっと引き寄せた。北の湖理事長(元横綱)は「これで70%、白鵬の流れになった」と分析。白鵬自身も「一つのヤマでもありましたから。いい集中で乗り越えた」と余裕たっぷりに手応えを口にしていた。

続きを表示

この記事のフォト

2014年5月23日のニュース