早大 異色1年生に注目 全日本での「緊張と焦り」を糧に箱根で飛躍へ

[ 2013年1月1日 10:50 ]

早大期待の1年生、柳利幸

第89回箱根駅伝

 異色のランナーが初の箱根路に挑む。1年の柳利幸は、埼玉・早大本庄高では2年までサッカー部に在籍し、右サイドバックとして豊富な運動量とクロスを磨いていた。

 「W杯(10年南アフリカ大会)を見て長友に憧れていた。正直、箱根は学内新聞で見るくらいで、テレビでは高校サッカーを見ていた」と当時はサッカー一筋だった。

 埼玉・幸手西中時代には主力として活躍し「県で5本の指に入るくらい」の成績を残してきたが、早大本庄高はJリーグの下部組織出身者が多く、レギュラー争いから脱落。2年の冬休みに休部届を出し、自分自身を見つめ直していたときに陸上部から声を掛けられた。

 体力に自信のあった柳は、年明けから陸上への挑戦を始めた。4月に正式に入部するとすぐに頭角を現した。高校総体県予選の3000メートル障害で優勝。北関東大会はケガを負いながらも7位と健闘。高校駅伝県大会では1区2位と快走し、全国都道府県駅伝の埼玉県代表に選出された。

 「自分にこんな能力があったんだ」と走ることに夢中になった。「サッカーをやってるときは、がむしゃらに走っていたけど、今はペース配分を考えるのが面白い。自分が頑張れば自分に返ってくるし、(良い)タイムを勝ち取ったときの達成感がいい」。サッカーで挫折したランナーは名門早大の門を叩いた。

 大学駅伝デビューは全日本大学駅伝。1区に抜てきされたが12位に沈んだ。「テレビで見ていた人が横にいて、緊張と焦りで自分の走りができなかった」と苦笑いする。

 ただ、その経験が自信につながり調子も上向きだ。今回の箱根では8区にエントリーされた。「どの区間でもチームを支える走りがしたい」。早大は前回の箱根のメンバー8人が残る。2年ぶりの奪冠へ、フレッシュな力が勢いをつける。

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2013年1月1日のニュース