データ後押し!日馬初日から5連勝で“綱100%”

[ 2012年9月14日 06:00 ]

栃の心を下し全勝を守った日馬富士(右)

大相撲秋場所5日目

(9月13日 両国国技館)
 横綱審議委員会(横審)の場所総見が行われ、3度目の綱獲りに挑む日馬富士は栃ノ心を寄り切り、全勝を守った。00年以降の綱獲りで5連勝発進した力士の昇進確率は100%。昇進に向けて序盤を無敗で乗り切ったが、変わり気味に立ったこの日の相撲内容に苦言を呈するなど、物足りなさを指摘する声も噴出した。白鵬、稀勢の里も5連勝を飾り、全勝は6人。
【取組結果】

 正面升席に陣取った横審委員の視線を浴びても、日馬富士は勝ちにこだわった。立ち合いでやや左に動いて左上手を握ると瞬時に出し投げ。栃ノ心が体勢を崩したところを一気に寄り切り「体がよく動いている。相手の動きが見えている」と胸を張った。00年以降、8人の大関が延べ20回の綱獲りに挑んだが、初日からの5連勝は昇進を決めた白鵬と朝青龍だけ。データ的には昇進の確率は高まった。

 支度部屋に戻った後の土俵上で琴欧洲が右肩を負傷するアクシデントが発生。これにより、琴奨菊、把瑠都に続いて3人の大関が途中休場という可能性が出てきた。だが、それは追い風とならない雰囲気だ。観戦した横審の沢村田之助委員(歌舞伎俳優)が「もし3人も休むのであれば(昇進は)14勝とか15勝しないとダメ」と辛口発言。これまで審判部などは「13勝以上の優勝」を最低ラインとしていたが、三つの大関戦が平幕との対戦に替わる事態を想定し、条件修正を要求したわけだ。

 鶴田卓彦委員長(元日本経済新聞社社長)は内容に物言いをつけた。左に動いて上手を取りにいったこの日の一番に触れ、「良くない。きょうもギリギリだろ。ガッチリ受け止める相撲じゃないと上に上がる資格はない」と苦言を呈し、5日間の内容を「60点ぐらいだろう。合格ラインに入ってるぐらい」と厳しかった。

 それでも、当の大関は「横審?来てることを知らなかった」と意に介さず、1年前の綱獲り場所で敗れた6日目の豊真将戦に向け「楽しみ」と余裕たっぷり。車に乗り込むまで仏頂面を貫き通した表情は、文句なしの全勝優勝で決めるという強い意志の表れにも見えた。

 ▼朝日山審判部副部長(元大関・大受) 横綱を狙うには、お客さんに見せる相撲を取らないといけない。勝てばいいだけじゃない。ああいう相撲を取っていると後半は分からない。

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2012年9月14日のニュース