白鵬、今場所も不安あり…取り直しでヒヤヒヤ白星

[ 2012年7月9日 06:00 ]

懸賞金を受け取り引き揚げる白鵬

大相撲名古屋場所初日

(7月8日 愛知県体育館)
 2場所ぶりの優勝を狙う横綱・白鵬(27=宮城野部屋)は取り直しの末に小結・豊ノ島(29=時津風部屋)を寄り切り。2場所連続の黒星発進こそ免れたものの、土俵際で簡単に体が浮いた内容は、5敗を喫した先場所をダブらせた。過去2年は不祥事に揺れた名古屋場所で3年ぶりに初日が満員御礼となり、6大関は全員白星。10年秋場所以来10場所ぶりに横綱大関陣が初日安泰となった。
【取組結果】

 史上初の6大関時代となって初の上位そろい踏み。満員の館内は拍手、歓声が鳴りやまないが、花道を引き揚げる横綱だけは冷や汗をかいていた。6大関全員が勝ち名乗りを受けて迎えた結びの豊ノ島戦。先場所敗れた相手を一気に押し込んだが、土俵際でうまく回り込まれて左手を土俵について豪快に一回転。「最後はまわしが切れて自分の体が流れてしまった」。軍配は白鵬に上がったが、審判団は豊ノ島の足が出るのと横綱の左手が付くのが同時とみて取り直しと判断。仕切り直しの一番では「文句を言わせない相撲を取ろうと慎重にいった」と右前まわしをつかんで冷静に寄り切った。

 横綱昇進後最悪の5敗を喫した先場所も初日に安美錦に敗戦し、その際に左手人さし指を剥離骨折。7日目から3連敗した相撲内容は下半身の粘りもなくなった印象だった。そのデジャビュのような一番を見てNHK解説の北の富士勝昭さん(元横綱)は「先場所から(調子が)戻っていない」とバッサリ。土俵下で見守った松ケ根審判長も「軽いと思った」と心配顔だ。場所前に白鵬は「先場所は稽古をやりすぎた」とも漏らし、故郷モンゴルに2度帰省した。名古屋入りしてからも先場所前には胸を合わせた鶴竜、稀勢の里ら大関以上との稽古を回避するなど、巻き返しの場所に向けて抜群の稽古量を積んできたとは胸を張って言えない。

 10年春場所で1人横綱となってから2場所連続で優勝を逃したことはない。賜杯奪回が至上命令のなか、横綱6年目の男は無風だった初日をこう振り返った。「誰しもがいいスタートを切って“よし頑張ろう”という気になりますから。そうなったかな…」。自信なさげに答えたその後ろ姿は、今場所も波乱含みの展開になることを予感させた。

 ◇白鵬の初日 幕内昇進後は36勝12敗。横綱昇進後は26勝4敗。横綱になってからの初日黒星は07年秋の安馬(現日馬富士)戦、07年九州の琴奨菊戦、08年九州の安美錦戦、12年夏の安美錦戦。幕内昇進後の2場所連続以上の初日黒星は4回。05年初~春に2場所連続、05年名古屋~九州に3場所連続、06年名古屋~秋に2場所連続、07年秋と九州に2場所連続で黒星を喫した。

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