届け“勇気の突進”W杯イヤー国内初戦快勝!

[ 2011年6月27日 06:00 ]

敵のタックルを引きずりながら前進する日本代表LO大野

東日本大震災復興支援チャリティーマッチ 日本代表49―7トップリーグ選抜

(6月26日 秩父宮ラグビー場)
 東日本大震災の復興支援を目的とするラグビーの慈善試合「日本代表―トップリーグ(TL)選抜」が26日、秩父宮ラグビー場で行われた。両チームのメンバーは闘志あふれるプレーで6626人のファンを魅了。宮城県気仙沼市の実家が津波で流された日本代表プロップ畠山健介(25=サントリー)は被災者に勇気を届けるためにW杯(9月9日開幕、ニュージーランド)での20年ぶりの勝利を誓った。試合は日本代表がTL選抜に49―7で快勝した。

 ノーサイドの笛が鳴ると、両チームのメンバーがセンターサークル付近に集まり、肩を組んで円陣をつくった。東日本大震災の復興のためにラグビーファミリーが一丸となって支援活動に取り組む姿勢を見せるためだった。日本代表フランカー菊谷主将は「復興には時間がかかる。今年だけでなく来年以降も慈善試合を続けよう」と声を掛けると、畠山は「来年は仙台市でやりましょう」と答えた。

 畠山は実家が津波で流され、両親と姉は現在、気仙沼市内にアパートを借りて住んでいる。「僕にはラグビーしかない。だ円球を通して元気を伝えたい」。この日は宮城県ラグビースクールに所属する32人(ジュニア選手18人、指導者14人)の前で懸命にプレーし「メッセージが伝わる試合ができたと思う。子供たちには絶対にラグビーを続けてほしい」とW杯での奮闘も誓った。

 日本代表でもう1人の東北出身、ロック大野も福島県郡山市の実家の現状に頭を悩ませている。「福島第1原発事故のため子供たちが修学旅行で京都から受け入れ拒否があったと聞きました」。この日は密集戦に頭から突っ込んで奮闘した。トライ数が7―1の快勝。「僕は自分の仕事に徹しました。1トライに抑えたことは(W杯に向け)自信につながった」と胸を張った。

 当初は5月21日に秩父宮で予定されたスリランカ代表戦が原発事故の影響で同国のコロンボに移され、今回の慈善試合が今年国内初の日本代表戦となった。対戦相手のトップリーグ選抜に14人の元日本代表がいたが、圧倒しパシフィック・ネーションズ杯(7月2日開幕)、そしてW杯に勢いをつけた。カーワン・ヘッドコーチは「東北のためにプレーをしました。W杯に向けてもいい準備になった」と満足した表情だった。

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2011年6月27日のニュース