遼くん2位で確定 史上初1億円新人!

[ 2008年11月24日 06:00 ]

18番、バーディーで締めくくりギャラリーの声援に応える石川遼

 遼くんが史上最年少、そしてルーキーとしては初の賞金1億円を確定させた。男子ゴルフツアーのダンロップ・フェニックス最終日が23日、宮崎市のフェニックスカントリークラブ(7010ヤード、パー71)で行われ、4打差の3位からスタートした石川遼(17=パナソニック)が、5バーディー、2ボギーの68で回り、通算7アンダーで日本勢最高の2位に入った。賞金2000万円を加算して通算獲得賞金は9973万166円。最終戦の日本シリーズは予選落ちがないため、年間獲得賞金1億円突破が確実となった。

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 勝てなかった。「今はほとんど満足してないです」と石川は口をとがらせた。結果はもちろん、終盤の勝負どころで得意の1Wがぶれて「すごく悔しい」と振り返った。しかし、その戦いぶりは“1億円プレーヤー”にふさわしいものだった。
 「最後まで誰が勝つか分からない展開にしたい」。前日に話していた通りの接戦に持ち込んだ。首位をいくマークセンには後半出だしで5打差をつけられたが、相手の失速もあって13番を終えて1打差に急接近。1メートルのパーパットを外した15番の痛恨のボギーでまた引き離されると、そこから再び粘りを発揮した。
 最終18番パー5を迎えて3打差。イーグルを狙った場面でティーショットは左のバンカーにつかまった。必要なのはバンカーのアゴを越え、その先にある松の枝の間を抜け、さらにフックをかける「難しい」ショット。だが、5Wでアゴすれすれに打ち出してフェアウエーに運ぶと、ギャラリーからは大歓声が上がった。
 残り88ヤードの3打目を直接沈めることはできなかったが、バーディーでフィニッシュ。一足早くホールアウトして最終組の結果を待った。だが、最後はマークセンのパーセーブを見届け、1打及ばぬまま戦いは終わった。
 思い返せば、2日目に自分のボールを蹴って1罰打を受けたミスも重く響いた。「72ホールの中には、もったいない1打もあったと思う。だけど、それも含めてゴルフだし、それはしようがない。でも、勝ちたかったですね」。そう言って一打の重みをかみしめた。
 とはいえ、堂々の単独2位で賞金2000万円を上積みした。1億円の大台まであと27万円。今季は残り2試合で、出場人数が限られる最終戦には予選落ちがない。棄権や失格がなければ最下位でも約90万円の賞金が入るために大台を突破する。それだけに「日本シリーズは骨折しても4日間回りたい」と笑った。
 小学生の頃には1週間のお小遣いが50円という時期があった。家のお手伝いをすると、さらに50円。スイミングスクールの帰り道、ためたお金で肉まんやお菓子を買うのが幼い石川の楽しみだった。それから約10年。まだ17歳ながら、肉まんなら100万個は買えようかという金額を自分の力で稼ぎ出した。
 今大会の開幕前、賞金配分表を見た時に「2位に入ったら1億円に届くかも」と思ったという。予感は現実となったが「もしもあの時に“優勝したら”と考えていれば結果は違ったかも」と小さな後悔が浮かんだ。どこまでも高みを見すえる17歳。宝くじのように運よく手にしたわけではなく、努力を重ねた末の1億円。賞金額には関心を示さないが、積み上げた数字にはそれだけの価値がある。

 ≪家族は大満足≫埼玉の自宅から応援に駆けつけた石川の家族は、2位の結果にも満足げだった。スコアをつけながらラウンドを見守った母・由紀子さん(41)は「優勝はできなかったけど、よく頑張ったと思います」と息子を称えた。まだ目の前でツアー優勝を見たことがない石川の妹・葉子ちゃん(12)と弟・航くん(8)は今回もお預け。それでも「残念だけど最高でーす!」と、お兄ちゃんの頑張りを喜んでいた。

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2008年11月24日のニュース