尊富士 110年ぶり新入幕Vに地元・青森県五所川原市大フィーバー 祖父「大谷・焼き肉・尊富士だ!」
大相撲春場所千秋楽で尊富士が新入幕優勝を果たした24日、出身地の青森県五所川原市ではパブリックビューイング(PV)に集まった市民らが大歓声を上げて110年ぶりの快挙を祝福した。
前日に右足を負傷した不安を振り払っての勝利に、観戦に駆けつけた尊富士の祖父工藤弘美さんと祖母洋子さんも「凄い。立派だった」と涙。弘美さんは「大谷・焼き肉・尊富士だ!」と、昭和30~40年代の子供たちが好きなものを指したとされる流行語「巨人・大鵬・卵焼き」になぞらえて喜びを爆発させた。
五所川原市役所には市民ら約160人が集まり、手拭いや垂れ幕などの応援グッズを持って祈るように取組を見つめた。尊富士が優勢になるにつれ徐々に歓声が大きくなり、豪ノ山を土俵の外に押し倒すと万雷の拍手と万歳三唱が湧き起こった。その後もリプレー映像がスクリーンに映るたび、何度も祝福と感激の声が上がった。
小学5年から中学卒業まで尊富士に相撲を指導した越後谷清彦さん(61)は同県つがる市の公民館で画面を見守り、勝利の瞬間は立ち上がって大喜び。涙を浮かべ「(尊富士は)教え子で初めて大相撲に進んだ子。ケガが心配だったが立ち合いから前に出る自分の相撲ができていた。ゆっくり休み次の場所に備えてほしい。みんなに愛される関取になってほしい」と称えた。
五所川原市の佐々木孝昌市長は「市民栄誉賞を創設したい」と話し、第1号を尊富士に贈る意向を示した。
≪ほとんどの小学校に!「相撲王国」の秘密は土俵の身近さ≫ 青森県は初代、2代目若乃花、旭富士ら6人の横綱をはじめ、舞の海や高見盛といった名力士を輩出し「相撲王国」と称されている。
「王国」を支えるのは、身近にたくさんある土俵だ。県内のほとんどの小学校には土俵があり、相撲場の数は鹿児島県に次いで全国2位(15年時点)。相撲好きの親世代や祖父母世代が、子供を土俵や道場に連れていくこともしばしば。
幼い頃から相撲に触れる環境が整っていることが、次々と名力士を輩出する基盤となっている。江戸時代から現在までの県出身関取数は47都道府県で最も多く、1883年5月場所の一ノ矢から幕内力士が途絶えていない。ご当地力士の絶え間ない活躍は、県民の相撲熱を高いまま保っている。相撲に関する報道も多い。それが子供を土俵に立つ空気を醸成する好循環をつくっている。
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