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村井チェアマン Jリーグ発展のために…欠点も失敗も全てをさらす

[ 2016年12月13日 08:30 ]

 今回をもってこのコラムも最終回を迎えます。21回にもわたり私の拙い文章にお付き合いいただいた読者の皆さまとスポニチ編集局には感謝申し上げます。

 連載を始めるにあたって、私が念頭に置いていたことは「自分の言葉で伝える」ことに徹しようということだった。常々「魚と組織は天日にさらすと日持ちが良くなる」と考えている私にとって、このコラムを通じて皆さんにJリーグの新たな一面を垣間見てもらえたなら幸いだ。

 こうした私の考えを表現するものとして「PUBリポート」がある。このリポートは即時性を重視して年に2回、リーグの総括情報を開示しているものだ。リポートのタイトルには、この内容をさかなに居酒屋などでファン・サポーター同士語り合ってもらえればという思いも込められている。

 最新のリポートは12月15日のウェブ公開に向けて今日現在まさに制作中なのだが、チャンピオンシップ終了からほぼ1週間で校了させるため、突貫作業で原稿のまとめに入っている。リポートはリーグにとって都合の悪いことも含めて真実を伝えていくため、英プレミアリーグで「デロイト・フットボール・マネー・リーグ」を制作しているコンサルティング会社・デロイトトーマツの日本法人にも編集参加してもらい、より客観性を高めている。

 今年の夏号では「世界とのギャップを明らかにする」をテーマに、競技面、ビジネス面やスタジアム、人材育成などあらゆる面で世界のトップとの差がどのくらいあるのかをつまびらかにした。一例を紹介すると、選手のパフォーマンスについて明治安田生命J1リーグ第1ステージの平均とUEFAチャンピオンズリーグにおけるレアル・マドリードとを比較してみると、パススピード、パス成功率、シュート数、アクチュアルプレーイングタイムなど、あらゆる分野においてどの程度劣っているのかが数字で明確化された。しかも、ファウル数だけはJリーグが勝っているという笑えないおまけまであえて記した。

 最新のリポートでは、多くのファン・サポーターからご意見を頂いた、2シーズンにわたる大会方式変更について競技面・ビジネス面から総括するとともに、リーグの成長に向けた投資の方向性と施策についても言及した。これも我々がこれまでしてきたこと、そしてこれからしたいことを天日にさらす行動に他ならない。

 Jリーグの社内用語に「PDMCA」という言葉がある。ビジネス用語として広く知られるPDCA(Plan=計画→Do=実行→Check=評価→Act=改善)の真ん中に「ミスを恐れない」という意味で「M」を置いた。現状維持は評価に値せず、この状況を打破するために失敗を恐れずチャレンジした者がより評価される組織になることを、私なりにスタッフに示した決意の表れと言ってもよい。

 私自身も、2017年も今以上にチャレンジしていくつもりである。そして、そのプロセスはできるだけ開示していくつもりだ。そうした決意を皆さまにお伝えしてこのコラムを終えたい。短い間でしたが、お付き合いいただきまして誠にありがとうございました。 (Jリーグチェアマン)

 =終わり=

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2016年12月13日のニュース