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リーグ発展のカギを握る Jリーグ巨額放映権収入の使用法

[ 2016年7月22日 11:00 ]

記者会見後に手を合わせる(左から)英パフォーム・グループのジェームズ・ラシュトン氏、Jリーグの村井チェアマン、NTTの鵜浦社長

 10年間、総額2100億円。Jリーグがスポーツのデジタルコンテンツ事業を展開する英国パフォーム・グループと締結した17~26年シーズンの放映権契約は、現行のスカパー!などとの年間50億円から大幅増額となった。2100億円は最低保障ラインで、今後の業績次第で、さらなる上積みも見込めるという。この放映権収入を、いかに使うかが、リーグ発展のカギを握ることになる。

 個人的に最優先すべきはスタジアムへの投資だと考える。JリーグはNTTグループと「スマートスタジアム事業」の契約を締結し、会場のWiFi(無線LAN)整備などを進めるが、それでは物足りない。やはりサッカー文化を根付かせるには好立地のサッカー専用スタジアムが欠かせない。リピーター獲得の要素として、陸上トラックのないスタジアムの臨場感に勝るものはない。サッカー専用の吹田スタジアム(収容4万人)の建設費は約140億円で、来季以降の放映権収入の1年分に満たない。専用スタジアム建設の際に、規格や、各ホームタウン主要駅からのアクセスなどを採点して、ポイントに応じた金額をJリーグが出資する制度などを設ければ環境整備を後押しできるのではないか。将来的には米MLSのように専用スタジアムを義務化してほしいとも思う。

 目玉となる大物選手の獲得も否定はしない。だが、Jリーグは創設期にリネカー、リトバルスキー、レオナルドらビックネームを集めて人気を博したが、ブームに終わり、その後、低迷した過去があることを忘れてはならない。プレミアリーグの放映権料は3年で約1・3兆円、ブンデスリーガは1年で約1170億円とされており、各クラブへの分配金も莫大。10年で2100億円のJリーグは資金力で太刀打ちできないだけに“本物”を獲得できる可能性が低いことも懸念材料だ。10年、20年先までの財産となる専用スタジアムと、一過性ではあるがライト層の取り込みなど爆発力のある目玉選手補強。バランス良い投資が期待されるが、これが“皮算用”でなくなったことが何よりの前進だ。

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2016年7月22日のニュース