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サポーターに勇気、希望を 熊本・巻の背中にみなぎる「覚悟」

[ 2016年7月20日 10:30 ]

背中に“覚悟”をみなぎらせ、ハードにプレーを続ける巻

 J2熊本の元日本代表FW巻誠一郎(35)の背中には「覚悟」がみなぎっていた。4月14日に発生した熊本地震の影響を受け、中止となった5試合中2戦が6月26日から7月16日までのミッドウイークに組み込まれた。気温も湿度も上昇する夏。ここ3週間で6試合を戦う日程は他クラブに比べるとかなり過酷だが、そこは“肥後もっこす”。精神力の強さはさすがだった。

 「ハンディはあるけどこの職業をやってる以上、そこを言い訳には出来ない。人間としての強さを。全てを糧にしてやっていくしかない」。

 16日のアウェー横浜FC戦。4戦ぶりに先発した巻は早速、真骨頂をみせた。前半3分、前線の競り合いで体を張り、MF八久保の先制ゴールを演出した。その一方で闘う姿勢が裏目に出てしまった場面も。前半ロスタイムにも相手DFと接触、2枚目の警告を受けて無念の退場を余儀なくされた。むろん、巻のプレーを責めるものなど誰もいない。

 試合後、清川監督は「退場はみんなが戦った結果だ」と言った。ただでさえ過酷な日程の中、後半の45分間を10人という数的不利で戦う事になった熊本だが、その粘りは驚異的だった。土壇場の後半41分、相手にPKを与え、同点とされてしまうも1―1に持ち込み、連敗を3で止めた。巻の闘志が乗り移ったかのようだった。胸を熱くしたサポーターも多かったのではないか。

 試合前には熊本でプレー経験ある横浜FCのDF市村、GK南のメッセージ映像も流された。この日、先発出場したFWカズも「10人でもファイトする姿には(観ていた人も)勇気付けられたんじゃないかな」と熊本の戦いぶりに感服していた。あの悲劇から3カ月。巻は「いろんなチームが発信してくれていることも力に変えたい。僕らにとっては長かった。ホームで試合もできるようになった。この前(3日、対C大阪、1―5)はボコボコにされたけど次は勝ちたい」。

 次戦は20日、徳島を迎える。震災後、うまスタでの試合は2戦目。巻は出場停止となるが、共に戦う姿勢に変わりはない。その背中は熊本サポーターの勇気、希望となるはずだ。

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2016年7月20日のニュース