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澤引退発表 燃え尽きた…今秋ぽつり「もう、なでしこはいいよ」

[ 2015年12月17日 05:30 ]

11年の女子W杯決勝で米国を破り初優勝を果たしトロフィーを掲げて喜ぶ日本代表・澤穂希(AP)
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 レジェンドが現役の幕を下ろす。女子サッカーの11年W杯ドイツ大会で主将として初優勝に貢献し、得点王とMVPにも輝いたMF澤穂希(37=INAC神戸)が16日、マネジメント会社を通じ、今季限りでの現役引退を発表した。15歳で代表デビューし、6度のW杯と4度の五輪に出場し、女子日本代表ではいずれも史上最多の205試合83得点。12年には国際サッカー連盟(FIFA)女子最優秀選手に選ばれたなでしこジャパンの象徴は17日に都内で会見を開き、自らの口で引退を報告する。

 レジェンドについにこの日が訪れた。日本の女子サッカーを最前線で引っ張ってきた世界の澤が今季限りでの現役引退を決断した。神戸市内で午前に行われたINAC神戸の練習後、松田監督が全員の前で発表。澤も「今季限りで現役引退します」と自らの口で報告した。広報によると、チームメートは神妙な面持ちで聞き入り、声を発する者はいなかったという。

 発表は電撃的だが、ここ数年、頭の片隅には常に「引退」の文字があった。11年のW杯優勝後、日本中に起こったなでしこブーム。中心にいた澤は12年3月に患った良性発作性頭位めまい症を乗り越え、同年のロンドン五輪銀メダルにも貢献した。13年はINAC神戸で史上初の4冠を達成。その一方、代表の招集からは外れることが多くなった。先が見えない時期が続き、親しい関係者には「私、W杯も獲ってバロンドール(FIFA女子最優秀選手)にも選ばれたんだよ。この後、何を目指したらいいの?」とこぼすこともあった。

 澤を14歳から知る松田監督が今季からINAC神戸の指揮を執ることになり、サッカーへの情熱が再燃。「自分のためにやる」と宣言して臨んだ今年のW杯では、史上初の6大会目の出場を果たして準優勝に貢献。「やりきった」と完全燃焼した。

 大会後リオデジャネイロ五輪について問われるたびに「現役をやっている以上は狙っていく」と同じセリフを口にした。だが「リオって何月にやるの?」と開催時期も把握しておらず、11月のなでしこジャパンのオランダ遠征について話題になった時は「もう、なでしこはいいよ」とぽつりと漏らした。

 澤のプロとしての矜持(きょうじ)は「心と体が一致するかどうか」。今でも午前と午後の2部練習をこなし、先発として活躍もしており、体は何の問題もない。8月に結婚した辻上氏も「凄く応援してくれる」とプライベートも充実。チームからは来季オファーも届いていた。これに対し、心は代表への執着心が薄れていくのと同時に、自らが求めるレベルに到達しなかったと思われる。

 検温や体重測定を欠かさず、体調管理には誰よりも気を配っている。最近も激しい練習を行うなど妊娠はしていないもようだ。残る試合はトーナメントの皇后杯。最大3試合で19日の準々決勝・AS埼玉戦(味の素フィールド西が丘)がラストマッチになる可能性もあるが「絶対に皇后杯だけは獲りたい」と意欲を燃やす。決勝戦は12月27日。優勝カップを頭上に掲げてからピッチを去る。

 ◆澤 穂希(さわ・ほまれ)

 ☆生まれ 1978年(昭53)9月6日生まれ、東京都府中市出身の37歳。1メートル65、54キロ。血液型AB。

 ☆名前の由来 生まれた年に米が不作だったため「たくさん稲穂が実りますように」という両親の願いが込められている。

 ☆表彰 W杯ドイツ大会での得点王とMVPが評価され、11年度のFIFA年間女子最優秀選手にアジア勢で初選出。

 ☆ギネス記録 W杯カナダ大会後、史上初となるW杯6大会連続出場がギネス世界記録に認定され、16年9月10日発売の「ギネス世界記録2016」に掲載。

 ☆結婚 大安の今年8月8日、J1仙台の強化・育成担当(現運営・広報部長)の辻上裕章氏(39)と結婚。澤は「サッカーのことなど悩んだ時、話をしていて頼りがいのある人。信頼の置ける人で自分をさらけだせる。彼の優しさや責任感の強さ、誠実なところが凄く好き」と話した。

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2015年12月17日のニュース