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クラブW杯準決勝惜敗の広島“世界レベル”経験でさらなる強さ期待

[ 2015年12月17日 16:00 ]

<広島・リバープレート>勝利に沸くリバープレートイレブンを見つめガックリの佐藤(左)ら広島イレブン

 悔しがる姿が印象的だった。クラブW杯準決勝・広島―リバープレート戦後の取材エリア。南米王者に敗れたJリーグ王者の選手たちは、一様に肩を落としていた。ダブルボランチの一角でフル出場したMF森崎和は、その悔しさの度合いを表現していた。

 「“よくやった”と言われるかもしれないけど、自分たちは勝ちにいってたんで。Jリーグで負けたのと同じぐらいに悔しいし、今年、僕たちはリーグで6回負けてるんですけど、それと同じぐらい悔しい」

 年間1位に輝いたリーグ戦と同様、試合前から勝利への自信があっただけに、敗北を簡単には受け入れられなかった。

 序盤から激しくプレスをかけてくることは想定していたし、機を見てチャンスを作れることも予想通りだった。「思い描いていた試合運びだった」と森保監督が振り返ったように、勝つための理想的な展開だった。ただ、前半にあった4度の決定機を生かせず、後半にはGK林のミスから決勝点を奪われた。「決めるべきときに決める」。「ひとつのミスが命取りになる」。この2つはサッカーの鉄則でもあるだけに、広島は負けるべくして負けたともいえる。

 それでも、この真剣勝負から得たものは大きいと思う。後方から組み立てる得意のポゼッションサッカーに乱れが生じ、球際の部分でもリバープレートに上回られた。国内ではミスなくできることが、この国際舞台ではできなかった。05年以降では最多となる勝ち点を重ね、リーグ最高得点と同最少失点を今季の広島は記録した。最強ともうたわれたチームが、さらに上のレベルを突きつけられたことは、良い意味での衝撃となったことは間違いない。

 思い出すのは08年のG大阪だ。マンチェスターUなどと対戦したクラブW杯で3位に輝き、その直後に迎えた天皇杯準々決勝・名古屋戦。厳しい日程にも関わらず、そのパスサッカーは今まで以上に冴え、名古屋に質の違いを見せつけて2―1で勝利した。世界を経験することが、これほど好影響を与えるのかと思った一戦だった。

 まだ広島にはクラブW杯の3位決定戦があり、その後には準々決勝に勝ち残っている天皇杯もある。加えて、来季は連覇をかけたJ1があり、2年ぶりに出場するACLが控える。この苦い経験を財産に、より強くなった広島が見られることを期待したい。(西海 康平)

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2015年12月17日のニュース