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本田 積極的にコミュニケーション 日本代表の食事 席で分かる選手のタイプ

[ 2014年6月13日 17:04 ]

 日本代表の食事は、今回のブラジル大会と同様、2010年の南アフリカ大会もJヴィレッジで総料理長を務めていた西芳照さんが帯同し、選手が飽きないようにいろいろ工夫してくれた。

 食事はバイキング方式だが、たとえば夕食ではかならず一品、その場で調理して出す。パスタなどが多いが、においで食欲をそそるようにしていた。「試合の3時間半前に炭水化物を摂取するといい」など、どういうものをいつ食べるかも重要だが、雰囲気やタイミングを考え、選手と会話しながら出すなど、楽しく食べられるようにしていた。コンディション調整がうまくいった要因のひとつとして、西さんの存在は大きい。今回でワールドカップは西さんにとって3回目だが、新たな工夫をしていると思う。

 選手が一番好んで食べるのはコメ。日本から炊飯器も持ち込んでいた。当時は食べるラー油がはやっていて、それもどっさり用意した。欧州組が増えて、食事も欧化したと思うかもしれないが、前回大会時はむしろ欧州でプレーしている選手の方が、和食を好んでいたように思う。食べる量は両極端で、よく食べたのは川島や森本で、いつも最後まで食べていた。やはりあのエネルギーは食べるからだ。逆に内田は食が細かったが、ドイツへ行って変わったかもしれない。

 朝、昼食は決められた時間内に食べればいいので各自ばらばらだったが、夕食は最後にマネジャーから連絡事項が伝えられるので、全員そろって終了となる。選手同士の話が弾んでいる時などは食事時間も長めになり、頃合いを見計らって岡田監督から合図があって連絡事項が伝えられるが、こういうことも団体生活では必要だ。

 面白いのは食事の時の席。テーブルの大きさにもよるが、毎回同じ席に座る選手もいれば、座る場所が替わる選手もいた。いろいろな選手とコミュニケーションを取っている選手もいた。長谷部がそうだし、本田もそういうタイプだ。スタッフはたいてい入口に近いところに座るが、「気配りできるか、周りが見えているか」などを、岡田さんは見ていたと思う。(元日本代表コーチ 小倉勉)

 ◆小倉勉(おぐら・つとむ)1966年(昭41)7月18日生まれ、大阪府出身の47歳。天理大卒業後に渡独し、ブレーメンのユースなどを指導。帰国後、92年から市原(現J2千葉)で育成部やトップチームのコーチ、強化スタッフなどを歴任した。06年からイビチャ・オシム監督、08年からは岡田武史監督の下で日本代表コーチを務め、10年W杯南アフリカ大会で16強入り。12年ロンドン五輪では関塚隆監督の下でコーチを務めて4強入りを支えた。五輪後の12年9月からJ1大宮でコーチ、テクニカルダイレクターを務め、13年8月から監督。14年からJ1甲府でヘッドコーチを務めている。

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2014年6月13日のニュース