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現役スポーツ選手初!長谷部本ミリオンゴ~ル!

[ 2011年8月11日 07:00 ]

100万部に達した長谷部誠の著書「心を整える。」

 サッカー日本代表の主将・長谷部誠(27)の著書「心を整える。」(幻冬舎)が10日、100万部を突破した。3月11日の東日本大震災後に出版された書籍で初のミリオンセラー。日韓戦の日に“大台ゴール”を決めた長谷部は「本当に驚いている。一サッカー選手としての本を多くの方に手にとっていただき非常にうれしい」と感激。印税はすべて被災地復興のために寄付する。

 幻冬舎によると98万部に達していた同書はこの日午後、2万部の増刷が決定。3月18日に初版2万部でスタートし、約5カ月かけて大台に乗った。日本出版協会によると、現役スポーツ選手が書いた本のミリオンセラーは史上初。元選手を含めても84年の板東英二氏「プロ野球知らなきゃ損する」の121万部以来の快挙だ。

 印税は長谷部の希望で全て復興支援のため寄付。金額は約1億円に達するとみられる。

 自伝ではなく、自己啓発書に仕上がっているのが特徴。自分の実力を発揮するため「心を強く」するのでなく、心が乱れるのを前提に「調整」する重要さを強調。地道な努力によりサッカー選手として競争を勝ち抜き、27歳の若さでたどりついた「56の習慣」を分かりやすく紹介している。

 「遅刻が努力を無駄にする」「努力や我慢を周囲にひけらかさない」「迷ったときこそ難しい道を選ぶ」など、何げないが自分の姿を自問自答したくなるものばかり。震災後は出版業界の売り上げが落ち込んでいる中でのミリオンセラーに、幻冬舎の見城徹社長は「震災で価値観が根底から揺らぎ、コツコツ努力して立ち向かうしかなくなった日本人の心情に“心を整える”というテーマがピタリとはまったのではないか」と指摘した。

 長谷部はもはや自己啓発のカリスマ的存在。W杯を制した「なでしこジャパン」のFW丸山桂里奈(28)は、決勝Tドイツ戦前に宿舎を訪問した長谷部の言葉に「やっぱ、凄く心が整いました」と感化され、決勝ゴールを決めた。プロ野球ソフトバンクの川崎宗則(30)西武の片岡易之(28)のほか、落語家林家たい平(46)や羽鳥慎一アナウンサー(40)ら芸能界にも愛読者が広がっている。

 また、購入者の66%が女性というのも特徴。良質な睡眠のため「1日の最後に30分、アロマをたく」や「ひとり温泉に出かける」などの習慣がアラフォー女性たちを中心に支持されている。

 「誰かの人生のヒントになれば」と生真面目なスポーツマンが書いた一冊。先行き不透明な中、輝く未来を信じたい人々の願いが100万部という数字に表れているのかもしれない。

 ▼コラムニスト小田嶋隆氏(著書に「サッカーの上の雲」など)強いイメージのサッカー選手が多い中、長谷部はケガやレギュラー落ちなど決してエリートじゃない。そんな自分を真っすぐ見つめたメッセージは、震災以降弱った人たちに強く訴えかけたと思う。中身は面白みはないけど真面目。昭和の高度経済成長時代の日本人みたい。バブル経済以降、どこか不真面目ぶってきた日本人が震災で戦後以来の壊滅に直面し、長谷部の愚直さに触れることで原点に戻っているのでは。

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2011年8月11日のニュース