×

吉武監督 団結力鍛えた「全員サッカー」で快進撃

[ 2011年7月5日 06:00 ]

<日本・ブラジル>感謝の横断幕を掲げ、観客にあいさつするU―17日本代表イレブン

U―17W杯メキシコ大会準々決勝 日本2―3ブラジル

(7月3日 ケレタロ)
 U―17日本代表を18年ぶりの8強に導いたのが吉武博文監督(51)。チーム立ち上げから2年半の指導で、1人の選手に頼らずにチーム一丸で戦うスタイルを築き、今大会ではメンバー21人全員を起用しながら結果を残した。目標に掲げた「ファイナリスト」には届かなかったが、若きイレブンを世界の強豪と対等に渡り合えるまで育て上げた。
【試合結果 U―17W杯】

 吉武監督は最後まで諦めずに戦い抜いた教え子たちを優しく抱きしめた。「この90分の中でも成長した。もう1試合でも2試合でもさせたかった」と試合を重ねるたびにたくましくなったイレブンとの別れを惜しんだ。

 元中学教員で大分市立明野中では永井秀樹(FC琉球)を擁し全国大会で優勝した。J2大分の下部組織での指導歴もある育成のスペシャリスト。技術的に突出したタレントがいない世代で、2年半のチームづくりで力を入れたのが「1+1が3や4になるように、21人全員で戦っていくこと」。先発を固定せず、決勝トーナメント1回戦までの4試合でメンバー全員を起用した姿勢に、その哲学が表れていた。

 また、指揮官が「共鳴」と表現して重視したのが、ピッチの選手全員が自主的に考えて問題を解決する力。ミーティングではテーマを決めて選手同士のグループディスカッションを行った。「シネマで共鳴」と題して映画を見て、お互いの感想を言い合うなど“頭”の指導にも力を入れた。

 明野中時代の教え子で元日本代表MFの三浦淳寛氏(淳宏から改名)は「意外性を大事にしていて、その選手が意図を分かっていれば何をしても文句を言わない。逆に、考えなしに適当にやると怒られる」と証言した。

 チーム発足当時から掲げてきた目標は「ファイナリスト」。今大会で決勝に進出するという意味だけでなく「A代表までの道や人生全体で見て最後までやり抜くこと、という意味もある」。ブラジル戦で選手はその教えを実践した。今後は1つ下の世代のU―15日本代表監督に就任予定。「次は96年生まれの選手を世界大会に連れて行きたい」とUAEで開かれる2年後のU―17W杯出場に照準を合わせた。

 ◆吉武 博文(よしたけ・ひろふみ)1960年(昭35)6月8日、大分県生まれの51歳。教員時代の85年に大分市立明野中の監督として全国制覇。01年に日本協会公認S級コーチライセンスを取得し、大分U―15コーチなどを経て09年にU―15日本代表監督に就任。10年U―16アジア選手権でベスト4に入り、U―17W杯出場権を獲得。

続きを表示

2011年7月5日のニュース