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オシム前監督の母国 奮闘を民族融和の一助に

[ 2009年11月25日 08:07 ]

 サッカーのワールドカップ(W杯)欧州予選で、ボスニア・ヘルツェゴビナは旧ユーゴスラビア連邦崩壊後、独立国として初出場にあと一歩まで迫る奮闘を見せ、難航する民族融和に明るい話題を提供した。14、18日のプレーオフでポルトガルに屈して夢破れたが、人々は希望を捨てていない。

 前日本代表監督のオシム氏の母国。イスラム教徒とクロアチア人の「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」と「セルビア人共和国」で構成され、一部には根強い民族憎悪が残る。サッカー協会の元広報担当で、オシム氏とも旧友のフアド・クルババツ氏(59)は「普段は試合を見ない民族主義者も、W杯に出場したら無視できない。代表チームの戦いを通じて国に一体感が芽生えたはず」と力説した。
 代表選手のほとんどがボスニア連邦出身だが、大黒柱のMFミシモビッチはセルビア人だ。クルババツ氏は「彼は全国で人気がある。(セルビア人共和国の首都で、ボスニア内戦でセルビア人以外の大半を町から追い出した)バニャルカでも代表を応援するようになった」という。
 民族感情に縛られず、実力重視の姿勢を貫くブラジェビッチ監督も全国で共感を得ているという。クルババツ氏は「ユーゴスラビア代表監督時代のオシムと似ている。彼が残留すれば未来は明るい」と、2012年欧州選手権に期待を込めた。(共同)

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2009年11月25日のニュース