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バイエルン5連勝も「借り物」批判

[ 2008年11月11日 06:00 ]

<シャルケ・バイエルンM>先制点を挙げたトニ(左)の活躍を称えるクリンスマン監督

 ドイツ・ブンデスリーガ第12節の3試合が9日に行われ、バイエルン・ミュンヘンが敵地でシャルケを2―1で下し、連勝を5に伸ばした。今季から指揮を執るユルゲン・クリンスマン監督(44)がチーム改革に取り組む中、序盤戦の出遅れを取り戻して上位2チームに勝ち点1差と接近。試行錯誤を繰り返す指揮官の視界に首位が見えてきた。

 競り合いを制したクリンスマン監督は「とても満足」と笑った。トニが前半3分に先制点。2分後に失点したが、同31分にリベリが4戦連発となる勝ち越し弾を決めた。後半は課題の守備で踏ん張り5連勝。トニは「チームが再び成功の道を歩み始めた」と力説した。

 地元開催の06年W杯でドイツを3位に導いたクリンスマン監督だが、初のクラブ監督就任で試行錯誤が続いた。少ない手数で敵陣に迫る攻撃サッカーを目指し、昨季の2ボランチから1ボランチに変更。しかし、どん欲に追加点を狙うスタイルは開幕のハンブルガーSV戦でいきなり2点差を失う失態を招いた。その後も模索は続き、戦い方が安定したのは昨季と同じ2ボランチを配したボックス形の4―4―2に落ち着いてからだった。

 この日も後半は攻め上がりを極力控えた手堅い内容で勝利。ファンボメルは「昨季のように何をすればいいか分かるようになった」と原点回帰を歓迎したものの、地元紙ビルトはオットマー・ヒッツフェルト前監督になぞらえ、指揮官を「オットマー・クリンスマン」と命名。結果を伴うようにはなったが“借り物サッカー”と皮肉られた。

 ピッチ外では風水に傾倒する指揮官が「ポジティブなエネルギーが流れ込む」とクラブハウスの屋上に仏像4体を設置したが、開幕わずか3戦で撤去。「家族と過ごす方がリラックスできる」と廃止したホーム戦前日のホテル宿泊も7戦目から復活させた。柔軟性があると言えば聞こえはいいが、ドタバタも目立つ。

 開幕前に全18クラブの監督が優勝候補に挙げた戦力。「ようやくやりたいことができるようになった」と話す指揮官だが、近い将来の欧州CL制覇を見据え、チーム改革の期待を背負うだけに昨季と同じスタイルで勝っても評価はされない。今後どこまで独自色を発揮してチームを成長させられるか。真価を問われる戦いはここから始まる。

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2008年11月11日のニュース