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悔しかったW杯、そして結婚…成長した大儀見「もう永里優季はいない」

[ 2012年8月5日 07:22 ]

<ブラジル・日本>前半27分、先制ゴールを決めた大儀見(17)

ロンドン五輪 サッカー女子準々決勝 日本2-0ブラジル

(8月3日 カーディフ )
 孤高のストライカーが初めて感情をむき出しにした。前半27分、大儀見が沢のリスタートを確認するとDFラインの裏を突いて抜け出した。縦パスを受けてDFをちぎると目の前にはGKだけ。冷静に動きを見極めゴール右隅に流し込んだ。今大会自身初ゴールは待望の先制点。右人さし指を突き立てて歓喜に沸く仲間の輪に飛び込んだ。「チームの一体感が感じられてうれしかった。今までにない感情ですね」

 後半28分には2トップを組む大野の今大会初得点をアシストした。「イメージ通りのボールが出せた。感覚的にあそこに(大野が)いると思っていた」。難関のブラジル戦で1得点1アシスト。納得の内容と結果に優しい笑みがこぼれた。

 先発した1次リーグ2試合でチーム最多9本のシュートを放ちながらノーゴール。後半ロスタイムに出場した第3戦南アフリカ戦では、佐々木監督が途中からドローを狙う作戦を取った。2位狙いという指揮官の方針には違和感を示す選手もいた。「個人的には気にしていなかったが、雰囲気が悪くなることを気にしていたのは(宮間)あやだった」。自分と同じように高いレベルのサッカーを追求しシンパシーを感じている主将が苦しむ姿を見て、クールな自分を捨てた。「味方に声を掛けたり、鼓舞したりをちょっとしてみました。味方を気持ちよくプレーさせるのも必要かなと思って」。チームをまとめるために動いた。

 昨年のW杯はわずか1得点。1人悔し泣きした。チーム戦術に溶け込めなかったこともあり「意固地になっていた」という。帰国後に大儀見浩介さん(33)と結婚。母・美智子さん(49)によると「結婚して周囲に対する気配りができるようになった」とキャラクターも変わった。それが窮地のチームを救うゴールにもつながった。「もう永里優季はいないですから」と大儀見。頼もしい点取り屋が一気に加速した。

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2012年8月5日のニュース