“魂の走り”村上義弘 現役28年間「心身共に完全燃焼。これ以上ぶざまな走り見せられない」

[ 2022年10月6日 05:00 ]

山口幸二氏(左)と市田佳寿浩氏(右)と並び笑顔見せる村上
Photo By スポニチ

 先月29日に現役引退を表明した村上義弘(48=京都)が5日、東京・板橋区の日本競輪選手会で引退会見を行った。村上は「競輪選手になって28年間、日本一の競輪選手を目指し頑張ってきた。引退を決めた理由は燃え尽き、競輪選手として心身共に完全燃焼できたと思えたから。速くて、うまくて、強い、理想とする日本一の競輪選手にはなれませんでしたが、仲間、友人、家族、そして何よりも多くのファンの皆さまに愛されて、誰よりも幸せな競輪人生を送れたと思います。本当にありがとうございました」とあいさつした。

 ラストランとなった9月12日の松阪F1戦。「出走表を見たら連対率が0%。こんなことは初めて」。最終日の1着は「番手に飛び付いて抜いた。久しぶりに自分らしいレースができた。ずっと連に絡めずファンをがっかりさせてきた。これ以上、ぶざまな走りを見せ続けるのは良くない」。次の斡旋は毎年、特別な思いで参戦してきた地元の向日町記念。「出るか迷ったが、これが最後という気持ちがあるとレースに影響が出る。走るべきではないなと」。引退を決めたのは自宅へと帰る車の中。「帰ってすぐ妻に話した。突然のことでびっくりしていたが何も言わず“お疲れさま”とだけ…」。そう話すと、こみ上げる思いをこらえ切れず、数分間、黙り込んだ。

 「魂の走り」でファンを魅了し続けた28年。思い出のレースは「多すぎて決められない」としたが、転機となったのが初のG3優勝の00年向日町記念。「自分の番手は一緒に練習する松本整さん(引退)。ゴール前は自分を抜くために本気で体をぶつけてきた。あれから自分の甘さがなくなった」。今後については「全くの白紙。ゆっくりして家族孝行をしたい」。会見の最後には山口幸二氏と市田佳寿浩氏がサプライズで登場。村上に花束を手渡すとがっちりと抱擁してねぎらった。 

 ◇村上 義弘(むらかみ・よしひろ)1974年(昭49)7月6日生まれ、京都府出身の48歳。73期。94年4月小倉デビュー。同月岸和田で初優勝。00年ふるさとダービーで特別競輪を初優勝。02年に全日本選抜を制してG1初優勝を達成。12年にグランプリ初制覇。16年には4度目の日本選手権Vを決めて、当大会最多タイの優勝記録に並ぶ。同年に2度目のグランプリ優勝。通算成績は2236走655勝(GP・2V、G1・6V、G2・5V、G3・35V、F1・18V、F2・25V)。主な獲得タイトルはグランプリ2回、日本選手権4回、全日本選抜、オールスター。弟は博幸(86期)。1メートル70、75キロ。血液型O。

続きを表示

2022年10月6日のニュース