【有馬記念】内田涙…さらば“いとしき怪物”ゴールド

[ 2015年12月28日 05:30 ]

涙を流す今浪厩務員に手綱を引かれるゴールドシップ

 暗闇の中、無数のライトに照らされて真っ白な馬体が輝いた。G1・6勝の実績はもちろん、強烈な個性で人気を集めたゴールドシップの引退式。寒い中を待ち続けた約4万人のファンが拍手を送り、そして別れの言葉を叫ぶ。須貝師は少し目を潤ませながら、感謝の言葉を口にした。

 「ファンの皆さま、シップと共に喜び、悔しがっていただき、そして愛してくださって、本当にありがとうございました」

 3歳から4歳にかけて主戦を務め、この日のラストランの手綱を任された内田は涙をこらえ切れない。

 「最後のレースに乗せていただき、ありがとうございました。結果はうまくいきませんでしたが、悔いのないレースができました」

 最後の写真撮影では、希代のくせ者らしいシーン。ズラリと横に広がる100人近い関係者を嫌がったのか、イライラしたそぶりを見せた。須貝師が「もう(撮るの)やめよ」とあきれれば、横山典も「人だけで撮ろう」と苦笑い。最後はしぶしぶ納まったが、場内は大盛り上がりだった。

 残念ながら、レースでは主役になれなかった。1番人気に支持されたが、行き脚がつかず最後方から。向正面で一気に好位まで押し上げた時には、場内がこの日一番の盛り上がりを見せたが、4角では手応えがない。最後は流れ込むように0秒3差の8着。内田は「楽に行けたし、やったと思ったんだけどね。現実は厳しい」と悔しさをかみ締めた。

 ゴールドシップはこの日のうちに茨城県のビッグレッドファーム鉾田トレーニングセンターへ。数日休んでから北海道に向かい、新冠町のビッグレッドファームで種牡馬となる。総額9億8000万円(1株1400万円で70株)のシンジゲートは即満口で、2世に懸かる期待は大きい。初年度産駒は19年夏にデビュー。シップの荒ぶる魂を受け継いだ優駿の登場が待ち遠しい。

 ◆ゴールドシップ 父ステイゴールド 母ポイントフラッグ(母の父メジロマックイーン) 牡6歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・小林英一HD 生産者・北海道日高町出口牧場 通算28戦13勝(重賞11勝、うちG1・6勝) 

 ▼小林正和氏(馬主の合同会社小林英一ホールディングスの代理)順風満帆とはいきませんでしたが、苦しい時も多くの方々に助けられ、そして多くのファンの方々に愛されて、幸せな航海だったと思います。

 ▼出口俊一氏(生産者の出口牧場代表)ゴールドシップのような、丈夫で息長く走れる馬を出してほしいです。

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