【天皇賞・春】フェノーメノ連覇へ 爆発力内に秘め“静かなる調整”

[ 2014年5月1日 05:30 ]

余裕残しの単走追いで上々の仕上がりを見せたフェノーメノ

 前年覇者フェノーメノはあくまで“静”に徹し切った。主戦・蛯名ではなく、佐々木助手を背にWコースで単走。6F82秒9~1F13秒1。開門から約2時間半後、馬が少ない静寂の空間の中、1F14秒台の緩めのラップを正確に守る。力まず、気負わずに、グルッと1周。雨雲が立ちこめる中でも体は黒光り。追えば爆発しそうな迫力を内に秘めたまま、駆け抜けた。

【天皇賞・春】

 戸田師は穏やかな表情。「先週ジョッキー(蛯名)を乗せてあるのできょうはいつものパターン。落ち着きもあるし、しまいも良かった。体の張りもいい」

 あえて攻めず、普段通りにこだわったのには、明確な理由がある。左前けいじん帯炎で約9カ月ぶりの日経賞(5着)は大きな期待に応えるべく、馬に精神的な負担をかけた。「休み明けもあったが、よかれと思ったことが実にならなかった。(調教で)ジョッキーを乗せすぎたり…。オーバーワークではなかったが、馬の気が張りすぎていた」

 想定外の8キロ減。パドックから発走地点まで気合が乗り過ぎ、実戦では行きたがった。それでも、G1馬の威厳で掲示板は死守。指揮官は「確かに昨年はいいステップ(日経賞1着)を踏んで、それを維持するだけだったが、上積みという点では今年が上。G1を使う上で恥ずかしくない出来で出せる」と胸を張った。

 あとは主戦・蛯名にバトンを委ねるだけ。天皇賞・春2勝、菊花賞も勝っている京都長距離G1の顔。師は「ジョッキーを信じて、任せるだけ。宝塚記念(4着)のように馬場が悪くなると厳しいが、今の時計の出る京都はむしろ走りやすい」と力強く結んだ。昨年の美酒を再び。メジロマックイーン、テイエムオペラオーに続く史上3頭目の天皇賞・春連覇を懸けた“関東のエース”への期待は日増しに高まっている。

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2014年5月1日のニュース