【菊花賞】ゴールドシップ輝く2冠 17番手から16頭斬り捨てた

[ 2012年10月22日 06:00 ]

皐月賞馬ゴールドシップが1番人気に応えて菊花賞を快勝

 牡馬クラシック最終戦の「第73回菊花賞」が21日、京都競馬場で行われた。単勝1・4倍の1番人気に推されたゴールドシップが道中17番手から動き、16頭をまとめてのみ込み皐月賞に続く2つ目のクラシックタイトルを獲得した。圧倒的な人気、そして最内枠のプレッシャーを物ともしない内田博幸(42)の好騎乗が光った。須貝尚介師(46)はこの勝利でJRA史上最速の100勝達成。3歳世代を制圧した“金の船”の次なるターゲットは強豪ぞろいの古馬制圧だ。

【レース結果】

 淀のスタンドがどよめいた。ゴールドシップが3角坂下から仕掛けた。3冠を決めたミスターシービーが83年菊花賞で見せたようなロングスパートだ。2コーナー17番手から一気に押し上げ、残り4Fで早くも先頭を射程圏に捉えた。須貝師が「さすがになんぼか早いと思った」と振り返ったこのシーン。しかし鞍上の内田は確信していた。

 「京都の向正面から上がっていって、直線でまた脚を使える馬はそういない。でも、この馬はそれができるはず」

 まさに読み通り。3番手まで上がると一度ギアを落として、直線に向いてから再加速。外から迫るスカイディグニティを振り切り、終わってみれば2着に1馬身3/4差をつける完勝だ。内田は「とにかく馬が強かったですよ」と何度も同じ言葉を繰り返した。

 「クラシックを勝っている馬だから、強いゴールドシップを見せなきゃいけないという気持ちでした。とにかく体力、持久力があって、器用さもある馬。不安は一つもなかったです」

 ダービーでは単勝3・1倍の2番人気に推されたものの、結果的に前を残す形となって5着。「ああなるのは分かっていたけど、行けなかった…」と唇をかんだ。そして訪れたリベンジの秋。「ダービーはダービーでもう終わったこと。ここでいい結果を出して、先生やオーナーに恩返ししないといけないと思っていました」。この馬の持ち味を最大限に生かすロングスパートで、きっちり期待に応えてみせた。そしてプライベートでは今月、次男が誕生。「あと15年ぐらいは頑張らないとね」と気持ちを新たにする。

 須貝師は、殊勲の内田を固い握手で迎えた。「強い馬が次々に出られなくなったことが人ごとに思えず、きょうのきょうまで気が抜けませんでした」。プレッシャーから解放され、安どの笑みが浮かぶ。自身はこれがJRA通算100勝の記念すべき勝利。開業から3年7カ月21日での達成は、JRA史上最速の快挙だ。

 今秋はこのコンビから目が離せない。今週、天皇賞・秋、ジャスタウェイで2週連続G1制覇へ挑戦。そしてゴールドシップについて「馬の様子を見てから、JCに行くか有馬まで間を空けるか考えたい」と指揮官が次の目標を掲げた。同配合で1つ年上の3冠馬オルフェーヴル、同期3冠牝馬ジェンティルドンナとの直接対決が待ち遠しい。

 ◆ゴールドシップ 父ステイゴールド 母ポイントフラッグ(母の父メジロマックイーン)牡3歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・小林英一氏 生産者・北海道沙流郡出口牧場 戦績9戦6勝 獲得賞金4億3634万5000円。

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