【ファンタジーＳ】エイシンキンチェム「競馬上手」

＜ファンタジーＳ＞福永を背に、ＤＰコースで追い切るエイシンキンチェム

　京都日曜メーンのファンタジーＳ組では豊富な調教をこなしてきたエイシンキンチェムが好気配だ。

　２歳牝馬には過酷なスパルタ調教！？ポリトラックで追われたエイシンキンチェムだが、追い切り前後にも注目すべき点がある。坂路を１本登坂しているのと、厩舎へ引き揚げる際もアップダウンのある逍遙（しょうよう）馬道を通っているのだ。その負荷は相当なものだ。

　「いや、松田国厩舎の出身者としては、これくらいは普通」と高野師は平然とした表情。「やっても体が減らないから、このメニューでできるんですけどね」と強調する。

　追い切りはシュテルンターラー（４歳１０００万）を先行させて３馬身後方から追走する形。直線は内にもぐり込むと軽快なフットワークで楽々と１馬身抜け出した。「反応とかいろんな確認作業をしてもらった。内に入れて抜くのも馬に気持ち良く走ってもらうのが目的。先週にマックスの負荷をかけているので、きょうは確認するだけ」

　ＪＲＡのブリーズアップセール出身。「いい動きをしていたし、体が圧倒的に目立っていた」が師の第一印象。デビュー２連勝だから、ここまでは期待通りの活躍だ。高野師は今年３月の開業以来、順調に勝ち星を伸ばしている。１２馬房で目下１７勝は立派の一語。エイシンキンチェムの３連勝＝厩舎の重賞初Ｖ。「そうなればいいですね」と白い歯をのぞかせた。

　またがるのは新潟・ダリア賞以来となった福永は「前はぎりぎりに仕上がっているイメージで、完成度は高かった。だが、久々に乗ってみて成長力があるのが分かった。落ち着いている。折り合いも大丈夫だし競馬が上手」と褒めちぎった。単なる早熟馬ではない。主戦の福永から“成長度”のお墨付きをもらったのは心強い限り。無傷３連勝へ突き進む。