「ブギウギ」スタート 趣里の歌唱は「280点以上」

[ 2023年10月2日 09:10 ]

連続テレビ小説「ブギウギ」の福来スズ子(趣里)
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】10月2日にスタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」(月~金曜、前8・00)は歌と踊りを楽しめる作品だ。

 初回の序盤、主人公の福来スズ子はステージで「東京ブギウギ」を派手に踊りながら歌った。「東京ブキウギ」はこの作品のモデルとなった歌手の笠置シヅ子さんが終戦後間もない1947年に世に出した大ヒット曲だ。

 ドラマで歌い踊るのは主演の趣里(33)。確かな音程で、リズム感が良く、声が伸びやかだ。

 演出の福井充広氏はオーディションでヒロインを趣里に決める際の思いをこう振りかえる。

 「趣里さんには芝居の抜群のセンス、引き出しの多さを感じた。踊りはもともと英国に留学してプロのバレリーナを目指していたこともあって申し分がなかった。声はハスキーなところがあって笠置シヅ子さんに通底するものがあった。ただ、歌に関しては、笠置さんを描く以上、プロの歌手を表現する必要があり、最初から70点くらいではなく90点くらいの人でないと難しいと考えていて、趣里さんはそのギリギリのラインに立っていた。音楽担当の作曲家・服部隆之先生らと、どこまで歌の部分が伸びるだろうかという話をした」

 趣里は昨年11月ごろからボイストレーナーと歌のレッスンを始めたという。

 福井氏は「伸びしろが凄かった。私たちの不安は払拭され、それ以上のものを感じた。服部先生もその成長の様子を見て主題歌もぜひ趣里さんに歌ってもらいたいという気持ちになった。今の趣里さんの歌は280点くらい。いや、もっとかもしれない。素養があったからできたのだと思う」

 初回ではタイトルバック、主題歌が流れ終わると、場面がスズ子の幼少期、花田鈴子の時代にさかのぼった。鈴子は家業の銭湯の入り口で、客らを前に「恋はやさし野辺の花よ」を歌った。演じる子役の澤井梨丘(12)の歌声は高らかだ。

 福井氏は「オーディションで最初に見た時、趣里さんに目の感じなどが似ていると思った。芝居も歌も素晴らしかった。歌は母親も上手だということで、よく家族でカラオケに行っているらしく、下地を感じた。踊りは、趣里さんと同じようにバレエを習っていて、素養があった。芝居、歌、踊り、人柄の奇跡の組み合わせがあり、私たち即決した」と説明する。

 澤井はこの作品がドラマ初出演だが、初回で見せた父親役の柳葉敏郎(62)、母親役の水川あさみ(40)らとの芝居は堂々としていた。

 福井氏は「彼女の感性で、大人たちとの掛け合い、リアクションができている。判で押したような芝居ではない。自然で純粋で無邪気な女の子をカメラに収められた。ドラマが初めてということが功を奏した」と語る。

 まずは子役の躍動から楽しもう。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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