「らんまん」語り・宮崎あおい 「近づきすぎず離れすぎずに」

[ 2023年9月10日 09:15 ]

連続テレビ小説「らんまん」の語りを務める宮崎あおい
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「らんまん」の語りを務めている俳優の宮崎あおい(37)が取材会を行い、語りへの取り組み方や出演者への思いなどを明かした。

 ──語りでの出演依頼を受けた時の心境はいかがでしたか?
 「とてもうれしかったです。このようなかたちでまた朝ドラに参加させていただけるんだという喜びがありました。台本を開くと、以前お世話になったスタッフの方の名前が並んでいたので、すぐに『絶対やりたいです』とお返事しました」

 ──久しぶりの再会がありましたか?
 「たくさんありました。NHKに行くと知っている方が多いので、廊下を歩いているだけで楽しかったりもします。10年ぶりにお会いするスタッフの方でも変わらずに当時の話ができて『あの時は楽しかったですね』と言えるのは一緒に良いお仕事をさせてもらえたおかげだと思います。いろんなご縁がつながってこの作品に参加させてもらって凄く幸せです」

 ──語りではどんなことを心がけましたか?
 「幅広い世代の方々がご覧になっているので、聞き取りやすいように話すことを意識しました。私自身に役の設定があるナレーションではないので、より客観的に物事を伝えるということも意識しました。近づきすぎず離れすぎずに」

 ──場面によって語りの色合いが変化することはありましたか?
 「誰かが亡くなる場面ではどうしても感情が乗ってしまいます。だから、最初に台本で読んだ時に1度泣いて、ナレーションの時は俯瞰できる状態でいるようにしました。それでも園子ちゃん(万太郎と寿恵子の長女)が亡くなる場面などはどうしても感情が乗ってしまって。乗ってもいい場合もあるでしょうから、素直にやって、その都度、演出の方から言われたら修正していくという感じでした」

 ──声を保つために意識したことはありますか?
 「常に喉をいい状態に保つことの難しさを初めて知りました。喉にいいお茶を飲んでみるとか、ハチミツをなめてみるとか、イガイガしたらすぐに対処するとか、いろいろ試行錯誤しながらやらせていただきましたが、どれだけ気をつけていてもどうしても声がかれてしまう時がありました。自分で放送を見て、この時はちょっとイガイガしているなと思う回もあります。普段から声のお仕事をされている方々の大変さを感じました」

 ──語りをすることで気づいた朝ドラの魅力はありますか?
 「語りの立場の方が朝ドラをより俯瞰できる感じで、自分が演じている時より隅々まで楽しめている気がします。自分の役があると自分の役から他の役を見ますが、今回は視聴者のみなさんに近いところで見ている感じなので、好きな登場人物も多いです」

 ──好きなエピソードはありますか?
 「たくさんあります。私は竹雄さん(志尊淳)と綾さん(佐久間由衣)のご夫婦が好きなんです。綾さんは何かあると寝転がって大の字になって空を見上げている印象があり、その綾さんの感じと、綾さんに寄り添っている竹雄さんの包み込むような優しさが好きです。綾さんが竹雄さんの名前を呼んで、何か大切なことを言うのかと思ったら、結局、名前を呼んだだけというシーンは見ているこちらがドキドキしました」

 ──朝ドラのヒロインの先輩として浜辺美波さんをどう見ていますか?
 「浜辺さんはとても芯のある感じがします。寿恵子さんはきゃしゃでかわいらしいのに、芯の強さが伝わるのは浜辺さんだからこそだと思いますし、万太郎さんを支える素敵な奥さまだと思います。万太郎さんが研究に熱中しすぎて全然眠らない時、寿恵子さんが布団を2枚敷いて枕を2つ置いて、一緒に寝ましょうと言っても振り向いてくれなくて、枕を投げたいところを我慢するシーンが私は凄く好きです」

 ──自分がヒロインを演じた時のことを思い出しますか?
 「切り離して見ているので、それはあまりないですかね」

 ──映画「大名倒産」でも共演した神木隆之介さんをどう見ていますか?
 「神木さんは座長として素晴らしいです。『大名倒産』の時に、この方が中心に立っている作品は大丈夫、幸せな作品になると思いました。『らんまん』でスタジオにいる神木さんを見た時も同じことを感じ、私がたまにスタジオに顔を出すと『いらっしゃいませ。ようこそ』と両手を広げて迎えてくれます。神木さん自身がこの作品を心から楽しんでいるからこそ物語がよりふくらんでいる感じがしますし、神木さんが演じているからこそ素敵な主人公になっていると思います」

 ──神木さんと浜辺さんが演じる夫婦をどう見ていますか?
 「神木さんも浜辺さんもかわいらしい方なので、かわいい夫婦だなと思いながら見ています。これから2人が年を重ねていくところを見るのが楽しみです。登場人物が年を重ねて成長していく姿を半年間見られるところが朝ドラの醍醐味だと思います」

 ──最後に視聴者へのメッセージをお願いします。
 「これからいろんな再会がありますし、万太郎さんと寿恵子さんも家族が増えてにぎやかになります。私も語りの立場として最後まで見守りますので、みなさんもぜひ最後まで、それぞれが年を重ねながら素敵な人生を送る姿を見守っていただけるとうれしいです」

 宮崎の繊細な語りが終盤のドラマをさらに味わい深いものにするだろう。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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