乃木坂46久保史緒里 大河初出演で「安心感を得ながら初センターの時期を過ごせた」

[ 2023年6月25日 20:45 ]

大河ドラマ「どうする家康」で五徳を演じる久保史緒里(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK大河ドラマ「どうする家康」に家康の長男・信康の正室・五徳役で出演している乃木坂46の久保史緒里(21)がインタビューに応じ、アイドルと役者の両立などについて語った。

 ──初めての大河の現場で、これまでのアイドル活動が生きたと思ったことはありましたか?

 「松本潤さんとお話ができた時、アイドルをやっていて良かったと思いました。ちょうど私が初めてセンターになった曲の発売と収録の時期が重なっていて、松本さんが『CDの発売はいつ?』と聞いてくださったり、私たちが出演した音楽番組を見てくださったりして、うれしかったです。ステージの話や『アイドルは大変だよね』という話もしていただきました」

 ──乃木坂46のシングル「人は夢を二度見る」(山下美月とのダブルセンター、3月29日発売)の時期と収録の時期が重なっていたのですね。

 「現場で有村架純さんが『しおちゃん、センターなんだよ』と言ってくださったり、みなさんが曲を聴いて『素敵だね』と言ってくださったり、収録後に音楽番組の出演があった時に松本さんから『頑張ってね』と声をかけていただいたりしました。私にとって乃木坂は家族ですが、大河の現場のみなさんも、もう一つの家族のような感覚でした。安心感を得ながら初めてのセンターの時期を過ごすことができました」

 ──考えてみれば、松本さんはアイドルの先輩ですからね。

 「岡田准一さんともアイドルトークをさせていただきました。岡田さんに『何年目なの?』と聞かれて『7年目です』とお答えしたら『僕は◯×年やってたんだよ。凄いでしょ!?』という話をしてくださいました(笑)。緊迫するシーンの直前の会話だったので、緊張がほぐれてありがたかったです。アイドルはお芝居に限らず、いろんなことを経験させてもらって吸収するものが多い分、自分自身の選択も必要になります。岡田さん、松本さんが選択したものがお芝居だと思い、お二人への尊敬の気持ちが常に強かったです」

 ──ダブルセンターの山下美月さんは3月までNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」に出演していました。

 「彼女が朝ドラに出ていたことには刺激を受けていました。乃木坂のことを広く知っていただくきっかけになる役割を彼女が先に担ってくれていたので、私も後に続きたいという思いはありました」

 ──今回なぜ五徳役を演じることになったのですか?

 「五徳役の選考の中で名前を挙げていただき、何度かプロデューサーさんの前でお芝居をさせていただいたのですが、まさか自分に決まるとは思っていなかったので、良い意味でリラックスして、台本から読み取った五徳の人物像を思い切り表現することができました。決まったという連絡をいただいた時には、正直、震えました」

 ──五徳をどのような人物だと捉え、どのように演じようと考えましたか?

 「まず史実を勉強した時、築山殿との関係、信康との関係の面であまり良くない印象を受けました。でも、役に決まった後、プロデューサーさんや演出の方から『五徳は優しい人物だったと思う』という話をうかがい、それを理解するまでに時間がかかりました。優しさの形が定まらないまま現場に入ったのですが、お芝居で徳川家のみなさんと会話する中で五徳の考え方が分かってきて、彼女の優しさも理解できるようになりました。自分は信長の娘だというプライドの陰に隠れて分かりにくいのですが、その優しさを常に持っておくように意識して演じました」

 ──収録初日はどうでしたか?

 「初めて現場で松本さんにお会いした時、『お芝居のトーンが凄く素敵ですね』と言っていただきました。スタジオの前室で松本さんが待っている時、五徳のシーンを見てくださっていたようです。うれしかったし、自信になりました」

 ──五徳を演じる上で難しかったのはどんなところですか?

 「五徳は徳川家のみなさんの中に織田方から1人で入っているので、少し徳川家のみなさんと空気が違う感じ、異質さを出したいと考えていました。五徳としての結末に向かって話が進んでいく中で、見てくださる方々には、五徳が何を考えているか分からないようにしたいと思っていました。そこが難しかったです」

 ──収録が続く中で特に印象に残ったことは何ですか?

 「現場でしか味わえない感情があるということに気づきました。1人で頭の中で考えても分からない感情が、現場でみなさんと本当の家族のように会話する中で分かるようになりました。特に驚いたのが、亀姫が五徳と同じ政略結婚を選択するシーンです。あのシーンで、亀姫の姿を見た時、涙が止まらなくなりました。五徳は亀姫に自分と同じ思いをさせたくなくて、強く当たることも多かったのですが、結果的に、亀姫は同じ道をたどることになってしまいました。あのシーンはカットがかかる前もカットがかかった後も苦しかったです。演出の方に『凄く苦しいです』と話したら『五徳は自分と亀姫を重ね合わせているので苦しくなるのは正しい』と言っていただきました」

 ──なぜそこまで強く心が動いたのでしょうか?

 「史実を勉強していたので、私自身の気持ちが五徳の気持ちと重なった部分があったのかもしれません」

 ──今回の大河出演で勉強になったことは何ですか?

 「お芝居の面でもいっぱいありますが、松本さんの座長としてのあり方がとても勉強になりました。松本さんは締めるところは締めて和ませるところは和ませてくださりました。重いシーン、気が張るシーンがたくさんあったと思いますが、いつも切り替えてメリハリをつけてくださいました。どんな時でもどんな状況でも凜として立たれている姿にあこがれを抱きました。私もこれまで座長をやらせていただいたことがありますが、自信のなさや不安が出てしまう感じだったので、いつかまた座長をやらせていただく機会があるなら、松本さんみたいな座長になりたいです」

 ──今後のアイドル活動に生きる部分はありますか?

 「アイドルにもいろんな曲があるので、いろんな表現方法を持っていた方がいいと思います。五徳は今まで演じたことのない役だったので、自分の中に表現方法の選択肢が増えました。それがライブなどで生きてくると思います」

 ──役者としては今後どのような道を歩んで行こうと考えていますか?

 「今回、現場で有村さんの近くにいさせていただいて、素敵だと思いました。有村さんは緊張が続く収録の中でリフレッシュする時間をつくっていらっしゃいました。ずっと役の気持ちのままでいるとどこかで集中力が切れてしまいますし、考え過ぎたり根を詰め過ぎたりすると凝り固まってしまいます。有村さんは現場で柔軟に考え、方向転換もできて、その場で受けたものをお芝居で返されていました。そんな役者になりたいと思いました」

 ──これからもアイドルと役者の両立が続くのですね?

 「そうですね。やはり乃木坂がとても好きで、乃木坂の名前を多くの方々に知っていただくのはうれしいので、そういう意味でも、いろんな作品に挑戦したいです。そして、お芝居が好きだという気持ちが強いので、アイドルの枠にとらわれずに、もっと、いろんな役に挑戦していきたいです」

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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