「プロフェッショナル」本木雅弘 意外?「エゴサーチします」人生初の密着取材で「より恥ずべき生態」

[ 2020年3月28日 09:30 ]

「プロフェッショナル 仕事の流儀」で人生初の密着取材を受けた本木雅弘(C)NHK
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 22年ぶりの大河ドラマ出演となったNHK「麒麟がくる」(日曜後8・00)で“美濃のマムシ”こと斎藤道三(利政)を“怪演”し、大反響を呼んでいる俳優の本木雅弘(54)が人生初の密着取材を受け入れた。28日放送の同局「プロフェッショナル 仕事の流儀」(後7・30~8・43)のカメラがドラマの舞台裏などに潜入し、その一部始終を記録。半年に及んだ密着取材の感想を尋ねると、本木は「この作品をご覧になった皆さんの声を早くエゴサーチしたい(笑)」「無防備になれる瞬間がなかなかない。やっぱり、どこか自己演出が入っていると思います。だから、これ、ヤラセですよ(笑)」。ユーモアを交えながら、その答えは哲学に満ちていた。

 「麒麟がくる」は俳優の長谷川博己(42)が主演を務める大河ドラマ59作目。第29作「太平記」を手掛けた名手・池端俊策氏(74)のオリジナル脚本で、智将・明智光秀を大河初の主役に据え、その謎めいた半生にスポットを照らす。物語は1540年代、まだ多くの英傑たちが「英傑以前」だった時代から始まり、それぞれの誕生を丹念に紡ぐ。

 本木が演じるのは、光秀の主君・斎藤道三。出家前の「斎藤利政」時代から描かれている。

 特に話題を集めたのは第2話「道三の罠(わな)」(1月26日)のラスト。道三は、娘・帰蝶(川口春奈)の夫で美濃の若き守護・土岐頼純(矢野聖人)が宿敵・織田信秀(高橋克典)と取引し、自身を裏切った証拠をつかみ、茶に毒を盛って容赦なく頼純を殺害した。インターネット上には、本木がサントリーの緑茶飲料「伊右衛門」のCMに出演していることと結び付ける視聴者が続出。“緑茶毒殺”などと注目された。

 翌1月27日には「伊右衛門」の公式ツイッター「伊右衛門タイムライン茶屋」が「こころに、お茶を。」のコピーの入った本木の妻役・宮沢りえ(46)の画像をアップし「昨晩は、主人が熱演のあまり、皆さまをお騒がせしましたようで、すみません。まずは心を落ち着け、茶などお召し上がりくださりませ。妻より」と反応。ハッシュタグも「サントリーがくる」とシャレが利き「サントリーも粋な対応」などと反響を呼んだ。

 3月中旬、本木にインタビュー。「まだ完成したVTRを見ていないので、何とも言えないのが正直なところなんですが、ドキュメンタリーとはいえ、不自然にカメラが入っているわけだから、どうしても自意識が働いちゃいますよね。その意味で、本当に自然な姿なのかどうか、自分でも疑わしいところがありますが、自己演出も含めて真実の姿なのかな、と。きっと、より恥ずべき生態が垣間見えるんじゃないでしょうか。こういう形(密着取材)で自己を振り返ったことがなかったので、今後の自分にとって、いい薬になるかもしれないと思っています」と“初体験”の心境を明かした。

 英ロンドンに滞在する長期オフにもカメラが入り、自宅もテレビ初公開したが「番組的には私生活も素直にさらしたということになっていますが、別に入浴シーンや夫婦喧嘩があるわけでもありません(笑)。プライベートの入り口ぐらいかもしれませんが、この作品をご覧になった皆さんの声を早くエゴサーチしたい(笑)」と意外な(?)言葉も飛び出した。

 「エゴサーチをされるんですか?」と確かめると「しますね。やっぱり自分が世の中に放っている客観的なイメージがつかめるので。もちろんネット民と呼ばれる人たちの意見が主流ですが、『言い得て妙』という時もありますからね」

 2月下旬、今回の番組が発表された際、「役より演者を際立たせるのは危険」という趣旨の書き込みを目にした。

 「折角、本木雅弘のイメージを消して物語を楽しんでいただいている視聴者の皆さんに対して、現実的な自分が表に出すぎるのは、ちょっと余計な行為かな、と。斎藤道三のプロモーションでありながら、自分で自分の役の力を薄めてしまうような気もして、まだ躊躇している気持ちもあります」と迷いも口にした。

 「最後の最後までカメラに近づかれても、その様子を俯瞰で見てしまう自分がいるんです。無防備になれる瞬間がなかなかない。やっぱり、どこか自己演出が入っているんだと思います。だから、これ、ヤラセですよ(笑)。視聴者の皆さんには、それを楽しんでもらうしかない。『この人は最後の最後まで自意識過剰なんだなぁ』ということを笑っていただく回ですね。でも(江戸後期の僧侶)良寛さんも言ったように、人はこの世に生を受け、ある役目を果たすために自分という仮の姿を演じ、そして、また仏の世界に戻っていく。役者じゃなくても、誰もが娑婆という舞台で芝居をするように生きていると思うんです。その意味で、自分も皆さんと同じですし、カメラに収められた姿はそのままの真実だと思います。でも、やっぱり『自分』という役柄は特に難しかったなぁ(笑)」

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