渡辺王将 耐えて“タイ勝”防衛王手!王将戦決着は5期ぶり第7局へ

[ 2020年3月15日 05:30 ]

第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第6局第2日 ( 2020年3月14日    佐賀県上峰町・大幸園 )

王将戦第7局に備え、大阪王将の餃子でパワーを養う渡辺王将(撮影・中村達也)
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 渡辺明王将(35)2勝、広瀬章人八段(33)3勝で迎えた第6局は後手の渡辺が108手、終盤の逆転勝ちで3勝3敗のタイへ戻した。シリーズの行方も逆転勝利をにらみ、5期ぶりの第7局へ決着を持ち越した。第7局は25、26日に新潟県佐渡市の「佐渡グリーンホテルきらく」で指される。

 「勝ちに不思議の勝ちあり」の心境だろうか。終局後、負ければシリーズ敗退が決まった渡辺は勝者らしからぬ回想を繰り返した。

 「作戦負け気味でした。成算がなかったので無理に動いた。(2日目の)お昼が明けても基本的には足りないと思っていた」

 その昼食休憩直前、広瀬が73手目▲4九金(第1図)に2時間11分の大長考。渡辺が4七に打ち込んだ銀を飛車金両取りの角打ちがあるため、相手にせず「金は引く手に妙手あり」と引いた。第2局の2時間42分に次ぐ今期2番目の長さ。読みにあいた穴を入念に埋めようとの細心さが表れ、渡辺も形勢を悲観していた。

 3段目に浮いた渡辺王は横っ腹が寒く、2二の安全地帯が遠い。そこから74手目△6五角~5八銀成と金に当てて飛車取りをかけ、反撃開始。勝機到来と感じたのは92手目△6九銀。端王で粘る広瀬を即詰みに討ち取った。

 決着は最終局へ持ち越された。渡辺は5番勝負の第5局、7番勝負の第7局での強さが際立つ。タイトルを継続保持できるか否かの重圧がかかるが通算7勝2敗。いわば「最終局の鬼」。

 第6局の理事代行で訪れた森内俊之九段(49)も名人戦で3度、第7局を制した。「毎回勝てる人はいない。どう転んでも仕方ない、くらいの気持ちで臨んだ」。ただ、2004年竜王戦、3勝4敗で失冠した相手が当時六段、20歳の渡辺だった。

 「序盤はテンポよく指して早見え早指し。やったことのないタイプで強い後輩が出たと思った」。その後、竜王戦史上最長の9連覇が始まる。渡辺に逆転防衛への視界が広がってきた

 ▼広瀬章人八段 後手の王形が不安定だと思ったが、思ったより攻めにくかった。第7局?恐らく年度最後(の対局)。フルセットはなかなか経験できることではない。精いっぱいやりたい。

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