「包丁人味平」のビッグ錠さん 漫画とミュージカル両輪活動

[ 2019年10月31日 21:52 ]

神奈川県・逗子文化プラザホールで行われたミュージカル「歌をつかまえて」でタップダンスを披露したビッグ錠さん
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 「包丁人味平」「スーパー食いしん坊」などで知られるグルメ漫画の巨匠、ビッグ錠さん(80)が、傘寿記念のミュージカル「歌をつかまえて」を神奈川県逗子市の逗子文化プラザホールで行った。

 公演は10月17日の誕生日を翌週に控えた、10日と11日に行われた。俳優広瀬慎一が「ビッグ錠」を演じ、ビッグさん本人はジャズクラブのオーナー役。タップダンスも披露した。館内で開催中の個展「ビッグ錠のOh!my!マドンナ展」と連動した構成で、ギャラリーに飾られた絵がストーリーにも関わってくる趣向が凝らされた。時折「包丁人味平」に登場した伝説の“ブラックカレー”などビッグ錠作品のワードが飛び出し、ファンはニヤリとしたはずだ。

 ビッグさんがミュージカルを始めたのは「還暦を迎えた頃」。1998年、ニューヨークに半年滞在して個展を開いた際、ブロードウエーで面白さに目覚めたのがきっかけという。「漫画と違い、目の前にいる人の反応が直接伝わってくるライブ感が面白い。それは、漫画を描く上でもプラスになる」そうだ。

 今回の舞台は逗子市を拠点とする劇団「ビバ!ミュージカル」の公演。同じ神奈川県藤沢市在住のビッグさんは、この劇団と「1年か2年に1回のペース」で舞台に立っている。

 漫画執筆も「マイペースでやっている」と、食をテーマにした漫画誌「俺流!絶品めし」(ぶんか社)で「怪盗くいしん坊」を連載中。「昔、説教強盗というのがあって、これを食漫画でやってみたかった」という。ミュージカルと漫画の両輪で創作活動を楽しんでいる。

 2008年には「包丁人味平」を舞台化。京都国際マンガサミットで「ミュージカル味平」を上演したビッグさん。17年には「風のゴンタ」という自身の体験した大阪空襲をモチーフとする漫画を紙芝居として上演するなど、活動の幅を広げている。人生経験を重ねた漫画家の作品は味わい深い。傘寿を迎え、ますます目の離せない漫画家の一人だ。(記者コラム・岩田浩史)

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