“ホラーの季節”夏から秋に? ハロウィーンイベント定着で流れに変化

[ 2019年9月30日 20:30 ]

 2017年に世界中で大ヒットしたホラー映画「IT/イット」の続編「IT/イット THE END」の日本公開(11月1日)があと1カ月に迫った。米国では9月8日に公開済みで大ヒット中。前作に続いてメガホンを取ったアルゼンチン人のアンディ・ムスキエティ監督が公開前「観客は大人用のオムツをはいて見たほうがいいんじゃないか」と言ったその言葉通り、観客は“失禁級の恐怖”を味わっている。

 スティーブン・キングの同名小説が原作で、子どもにしか見えない不気味なピエロ「ペニーワイズ」が殺りくを繰り返す。続編では、大人に成長した主人公たちの前に、あのペニーワイズが再び現れる。洋画関係者は「“流れる血の量が半端じゃなかった”と話すキャストもいました。日本のホラーファンの間では期待が高まってます」と話す。

 ホラー映画といえば、日本では“一服の清涼感”として暑い夏に公開されるのが定番。だが本場米国ではハロウィーンをはさんだ秋に封切られることが多い。シリーズ化された「スクリーム」は11月、社会現象にもなった「パラノーマル・アクティビティ」も9月の公開だった。

 「IT」は前作も今作も公開日は9月8日。通常は夏休み興行が終わって劇場が静かになってくるが、17年の前作はそんな定説を覆しホラー映画史上最高の興行収入をたたき出した。日本では11月公開で興収22億円の好成績。前出の関係者は「秋でもホラーがいけると、業界では随分話題になりました。本来なら夏に公開したいところですが、夏は邦画、洋画ともに大作が多く劇場をおさえるのも大変。米国の公開に合わせなければいけなかったとの事情はあるにせよ、質が伴った作品なら秋でも十分に勝負できるという証明になりました」と話した。

 そんな「IT」続編も楽しみだが、この秋にはもう1作品、名作ホラーの続編が公開される。こちらもスティーブン・キング原作「シャイニング」の後日談「ドクター・スリープ」だ。第1作でジャック・ニコルソンが演じた父親に追い詰められた、不思議な能力を持つ少年ダニーが30年後、再びあのホテルを訪れる。米国では11月8日公開。日本は11月29日に決まった。

 「“ドクター・スリープ”もただ観客を驚かすためのポップコーンムービーではなく、広く映画ファン全体にアピールできるということ。秋も深まってからの公開は賞レースを意識している面もあるのでは」とホラー映画に詳しい映画関係者。「日本でもハロウィーンがイベントとしてすっかり定着。今後は日本でもホラー映画は秋公開という流れになるかもしれない」と続けた。

 夏でなくても“新鮮”なホラー映画が楽しめるのはファンにとってもうれしいかぎり。2019年下半期は「スター・ウォーズ/エピソード9」が話題を独占しそうだが、その前にホラーの“実りの秋”を楽しんでみてはいかがだろうか。 (芸能記者コラム)

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2019年9月30日のニュース