菫初段、男性棋士と初対決で逆転勝ち 母手作り“勝負メシ”で7大棋戦予選白星デビュー

[ 2019年9月17日 05:30 ]

敗れて頭に手をやる古田直義四段(左)を前に、してやったりの表情の仲邑菫初段
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 囲碁の史上最年少プロ棋士・仲邑菫初段(10)が16日、大阪市の日本棋院関西総本部で打たれた「第59期十段戦」予選Cで古田直義四段(50)と対局し、235手で1目半勝ちした。初の男性棋士との対戦で勝利を挙げ、2回戦に進出。公式戦3連勝となる金星を収めて「勝ててうれしかった」と笑顔を見せた。

 囲碁の7大棋戦(棋聖戦、名人戦、本因坊戦、王座戦、天元戦、碁聖戦、十段戦)予選に初参戦。持ち時間各3時間で食事休憩を挟む長丁場の戦いも、4月のデビュー後初めて。序盤は兄弟子の大橋成哉七段(29)が「古典的な手とAIの手をミックスしたような前例のない局面」と評する展開で、時間を使い慎重に打ち進めた。中盤で積極的に勝負をかけるもカウンターを食らい、劣勢に。仲邑もピンチと自覚していたが、古田のミスが出て形勢を五分に戻し、終盤は半目を争う大接戦となった。

 40歳差のベテランを相手に大逆転劇。その粘り強い戦いを支えたのは、休憩中に食べた初めての“勝負メシ”となる母・幸(みゆき)さん(39)の手作り弁当だった。自らリクエストした大好物のチンジャオロースーと卵焼きを完食。終局後、「お弁当で元気が出た?おいしかった?」の質問に、この日一番の笑顔でうなずいた。午後からの対局には、ラムネとチョコレートも持ち込み、長期戦に備えた。

 休憩を含め8時間を超える長い戦いを終え、仲邑は「長かった。でも思ったより長くなかった。時間を使い切ってしまい、結構疲れました」と振り返った。娘の戦いを見守った幸さんは「良くなかった。しっかりしたものを打てるようにこれから勉強しないと」と注文を付けた。

 仲邑の次戦は23日に関西棋院(大阪市中央区)での若鯉戦。「頑張ります」と力強く語った。

 《藤井七段は「味噌煮込みうどん」でプロデビュー》将棋の藤井聡太七段(17)の初めての勝負メシはみろく庵の「味噌煮込みうどん」だった。四段だった2016年12月、竜王戦6組ランキング戦で加藤一二三・九段(79)と対局。大先輩を下し、プロデビュー戦を飾った。東京・千駄ケ谷の将棋会館近くに店を構え、多くの棋士の胃袋を支えたみろく庵は今年3月、惜しまれつつも閉店した。

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