フジ次期社長・遠藤龍之介氏が会見 好きな本は「沈黙」も「著者は忘れた」

[ 2019年6月7日 13:42 ]

フジ・メディア・ホールディングス次期社長の金光修氏(右)とフジテレビ次期社長の遠藤龍之介氏
Photo By スポニチ

 フジテレビと持ち株会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は7日、東京都港区の社屋で両次期社長兼COOの内定記者会見を開いた。

 5月15日の取締役会で、FMH次期社長に金光修専務(64)、フジテレビ次期社長に遠藤龍之介専務(63)が内定。ともに26日の株主総会を経て正式に決定する。

 遠藤氏は、「社長としてのミッションはいたってシンプル。視聴率を回復させて業績を上げることにつきる」と抱負を述べた。芥川賞受賞作家・遠藤周作氏(故人)の長男。慶大卒業後に入社し、編成部長、広報部長、広報局長などを歴任。2010年に常務、13年に専務に就任した。広報部長時代の05年にはライブドアの堀江貴文社長(当時)によるニッポン放送株買い占め騒動で報道陣に対応した。

 「40年働いて10回以上の人事異動。これだけ異動の多い職場はない。たくさんの職場から求められたのか。たくさんの職場から求められなかったのか。後者でないことを祈ります」と自己紹介。「近年は”社長補佐”という肩書きもいただき、社長の職務はそれなりに理解しているつもり」と続けた。内示は宮内正喜社長(75)から受け、「20~30秒は言葉が出なかった」と明かした。

 視聴率の低迷については、「かつてフジテレビは時代の心をつかんでいたが、時代に着いていけなくなったことは否めない。多くの長寿番組を打ち切らざるをえなかった」と分析。「テレビは今を映すメディア。番組のつくり手の視点は少し先の未来。それを発展させる社内変革を」と、巻き返しを期した。

 次期社長就任ついて、「父親の周作さんが生きていたら、どんな言葉をかけてくれるでしょうか?」と問われると、「何を言ってもストレートに返してくれる人ではなかったので」と前置きしつつ、今回ばかりは「聖書の言葉から真面目に言ってくれると思います。”ローマ人への手紙”を(引用して)」と話した。

 また、好きな著書を問われると、「著者は忘れてしまいましたが…」と間を置いて「『沈黙』という小説です」と、周作氏の作品名をあげて笑いを誘った。理由については、「映画を観て、マーティン・スコセッシは素晴らしいと思った」と、「沈黙」を原作に脚本と監督を担当した米映画界の巨匠を名指した。

 趣味については「たくさんあるんですが、胸を張って言えるのは囲碁、将棋の室内ゲーム。自分で言うのもなんですが、将棋はかなり強いです。7歳くらいから始めて、アマチュア6段くらいだと思います」。その才能を職務に生かせるかどうかは、「三手の読みは社外の仕事に対しては生きる」とした上で、「ただ、うちの社内は個性的な人が多いので、うちの中ではどうか…」と付け加えた。

 金光氏は、「子どもの頃はテレビばかりをみていて、フジテレビ番組ばかりでした。(新卒当初は)フジテレビは一般職を募集していなくて、他社に就職しました」と経歴を紹介。「5年後、競馬中継をみていたら中途採用を募集していて、運だけで受かりました」と苦笑した。そして「会社の経営とは、本質的には企画。上がってきた数字(を判断する)だけではない」と戦略的に仕掛けていく意欲を示した。

 宮内社長は会長となり、FMHの会長も兼ねる。視聴率の低迷に苦しむ中、刷新したトップの手腕が試される。

続きを表示

この記事のフォト

2019年6月7日のニュース