桂文枝 初の自伝につづった母への感謝「赤裸々に書いてるんで激怒するかも」

[ 2018年10月25日 15:17 ]

自身の半生を綴った「風に戦いで」を出版した桂文枝
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 落語家・桂文枝(75)の自著「風に戦いで(かぜにそよいで)」が25日から発売。記念会見が大阪天満宮(大阪市北区)で開かれ「ホントは母に読んでもらいたいけど、母のことを赤裸々に書いてるんで激怒するかも」と文枝は語った。

 1944年、生後11カ月の時に父を病気で亡くし、母が嫁ぎ先を出て文枝は幼少期に貧乏暮らしを経験した。母が大阪・中崎町の料理旅館に住み込みで働き、文枝は叔父、叔母の家で育った。母が休みの時、よく連れて行ってもらったのが大阪天満宮。その時に2人で撮影した写真と同じ場所に立ち、「懐かしい」と感慨深げ。60数年前を思い起こさせる思い出の場所で会見に臨んだ。

 師匠の5代目桂文枝が2005年に亡くなったのが74歳の時。「師匠の年齢を上回ったので」と半生を書くキッカケとした。構想2年、これまで出版した本は「喋ったことをまとめたものが多かった」。初の自伝は自らの手で、3カ月で書き上げた。母への感謝の思いが中心。「母の再婚も書かれてます。隠しておきたかったかも。今も98歳で元気にしてます。私のことは分からないけど」。関大の学生時代に始めた落語への想い、ラジオやテレビ出演、間もなく300作に到達する創作落語など、75年の半生が綴られている。

 タイトルの「戦いで(そよいで)」は草や木が風に吹かれて、静かな音を立てながら揺れ動くこと。この文字を使った理由について「追い風、逆風といろんな風に抗ってきましたから」と文枝。創作落語を始めた時には「新しいこと、なにをやってるんだ」と逆風を感じたそうだ。ここ数年のスキャンダルについては「逆風?ないですね」と苦笑い。「読み返すと恥ずかしい。でも、同世代の人や、悩んでいる若い人に読んでもらいたい。いつかはいいことが待ってると」と自信を持って自伝を送り出した。

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