野際さん 最後の“娘孝行”、長女の事務所受け入れ頼んでいた

[ 2017年6月17日 05:30 ]

野際陽子さんの長女で女優の真瀬樹里
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 肺腺がんのため13日に死去した女優の野際陽子さん(享年81)は、長女で女優の真瀬樹里(42)のために“最後のお願い”をしていた。2人が所属していた芸能事務所が解散したため、別の事務所に「娘の面倒を見ていただけないか」と頼み込んでいた。

 野際さんが1973年に結婚した俳優千葉真一(78)との間にもうけたのが、一人娘の真瀬。94年に映画「シュート!」でデビューして以来、女優として活動してきた。その真瀬は今年4月21日から、大手芸能事務所「レプロエンタテインメント」に所属。仕事が増えるきっかけになったが、これこそが野際さんの“娘孝行”だった。

 野際さんと真瀬は同じ芸能事務所に所属していたが、その事務所が昨年解散。母娘ともにフリーで活動していた。実績のある野際さんは名前だけで仕事が決まるものの、真瀬はそう簡単ではなかった。野際さんは死が遠くないと悟っていたのか、「私のことはいい。心配なのは娘。まだまだこれからなのよ」と将来を案じていたという。

 野際さんが頼ったのは、ドラマ「花嫁のれん」で嫁姑(しゅうとめ)役で共演するなど、親交の深い女優の羽田美智子(48)だった。「良い事務所はないかしら」と相談すると、羽田が所属するレプロを紹介された。昨年9月下旬に社長に会い、「娘をもっと花開かせたい」「安心できるところに預けたい」と熱っぽく語ったという。

 スタッフは真瀬の演技をすぐに気に入った。切れ長の目と筋の通った鼻は母親似、得意な殺陣は千葉から受け継いだ。野際さんから託された部分もあるが、「きっぷの良いお母さま譲りのお芝居がとても格好良い。野際さんの芝居を引き継いでくれる」と期待感を持って受け入れを決めた。

 レプロに所属後、真瀬は5月に放送されたドラマ「警視庁捜査一課9係 season12」に出演。フジテレビ「痛快TV スカッとジャパン」にも出演し、バラエティーにも進出した。その娘の姿は、入院中の野際さんにも届いた。とてもうれしそうな笑顔で、テレビの中の娘を見つめていたという。

 《羽田「深い悲しみ」》羽田は16日、事務所を通じ「最も敬愛していた私の芸能界の母。永遠に来ないでほしいと願い続けていた時が来てしまったことに、深い悲しみを感じるばかりです」と文書で追悼。「病を抱えながらも、なお現場に向かう後ろ姿は、小さかったはずなのに、戦士のように全てを背負って大きく見えました。一緒に過ごさせていただいた時間は私の宝物です」と思い出をつづった。

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