高知容疑者引退作の原作者 怒りの“真意”「プロの自覚を持て」

[ 2016年6月27日 20:45 ]

警視庁湾岸署に移送される高知東生容疑者

 「溝鼠」シリーズや映画化&舞台化された「忘れ雪」などで知られる作家の新堂冬樹氏が26日夜、自身のブログを更新。覚せい剤取締法違反と大麻取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕された元俳優で会社経営の高知東生(本名大崎丈二)容疑者(51)への思いをつづった。

 高知容疑者は昨年6月、義父の介護などを理由に芸能界を引退。同年秋に公開された映画「忘れ雪」「W~二つの顔を持つ女たち~」が引退作になったが、2本とも原作は新堂氏だった。

 新堂氏は24日付のブログで「高知容疑者は重要な役柄で出演していたので、カットも編集もできず、DVDやテレビでの再放送にも影響してくることだろう。これだけでも、高知容疑者を信じてオファーをかけたプロデューサーさんやスタッフ、そして共演者の人たちにどれだけ迷惑をかけたことか…」と憤り。「介護を口実で引退したのに、浮気相手のホステスとホテルで覚醒剤と大麻を使用していたなど…腹立たしくて仕方がない」と激怒した。

 今回は「誤解してほしくないのは、好き嫌いで物を言っていないということだ。俳優としての高知氏のことはどちらかというと好きな役者だった」と怒りの“真意”を説明。

 「ただ、俺が言いたかったのは、映画が企画から、原作の権利を押さえて、スポンサーを募り、製作資金を集め、脚本、キャスティング…無事にクランクインできるのは何百本に1本…そのほとんどの企画が、資金が集まらなかったり、キャスティングがうまくいかなかったりというような理由で流れてしまう。今回、高知容疑者の引退作となった『忘れ雪』も、十数年前から50件を超えるオファーがあったが、様々な理由で頓挫し、ようやく、昨秋に実現したのだ。『忘れ雪』のプロデューサーが映画化の権利を得たのは約10年前…つまり、10年がかりで企画が着地したのだ。主演のチャンソン君にしても日本の映画で初主演、医療用語の並ぶ日本語で書かれた台本に悪戦苦闘しながらも大役を果たした。だが、恐らく今回の事件で、作品が取り上げられることにブレーキがかかってしまう面があるのは否めない」と映画化に奔走したスタッフ・キャストの苦労を思いやった。

 「もちろん、原作者としても、初めての恋愛小説で(ノワール小説の対極にある)白新堂作品のきっかけとなった、手塩にかけた思い入れの深い『子供』の念願の映画の主要キャストが逮捕というのはやりきれない」と心境を吐露。「特に『有名税』で仕事をしている人は、周囲に与える損害と影響を考えて、一般人の何倍も自分を律しながら生活しなければならない。プロとしての自覚を持てば、今回のような事件は起こらないのだから」と訴えた。

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2016年6月27日のニュース