「半沢」福澤克雄監督 17年ぶり松嶋菜々子を絶賛「男優のよう」

[ 2015年7月31日 09:00 ]

TBSテレビ60周年特別企画「レッドクロス~女たちの赤紙~」の主演を務める松嶋菜々子(中央)。福澤克雄監督は、その存在感と演技を絶賛した(C)TBS

 女優の松嶋菜々子(41)が主演を務めるTBSテレビ60周年特別企画「レッドクロス~女たちの赤紙~」は8月1、2日午後9時から2夜連続で放送される。第2次世界大戦中、自身の信念で「赤紙」を受け取り、戦地に赴いた従軍看護師を描く感動巨編。同局「半沢直樹」などで知られる福澤克雄監督(51)が演出を務めた。松嶋とタッグを組むのは同局「Sweet Season」以来17年ぶり。女優を主演に迎えるのは久々だった福澤監督だが「本当にいい男優のようでした」と松嶋の存在感と演技に最敬礼した。

 1931年、佐賀の女学生・天野希代(松嶋)は、かつて入院中の母・絹江(浅茅陽子)を看護した看護師にあこがれ、その夢を目指していた。そして「女性でも国の役に立ちたい」と赤十字の従軍看護師になることを決意する。厳しい訓練に耐え、無事に看護師養成所を卒業。希代は赤紙を受け取り、満州(中国)に渡る。しかし待っていたのは、赤十字の信念「博愛の精神」とは程遠く、銃弾が飛び交い、常に命の危険にさらされる過酷な環境だった…。

 「さとうきび畑の唄」(2003年)「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」(10年)「LEADERS リーダーズ」(14年)などの大型ドラマを手掛け、骨太な作品に定評のある福澤監督。戦後70年という大きなテーマを前に「やはりドラマなので、おもしろくしないといけない。テーマをドラマの中に組み入れながら、視聴者の方々の心に残るように、感動してもらえるように描くのが難しかったです」と振り返る。

 その困難も、松嶋だったからこそ乗り越えられたのかもしれない。

 今回、役作りなどについて松嶋とは「あまり話し合わなかったですよ。もう役をつかんでいましたよね。相当、脚本を読み込んだのだと思います。“自分の希代”というものをビシッと作ってきましたから。途中からは、ほとんど何も言っていません。(指示は)『ここで立って』ぐらいなものでしたよ」。それは、ある意味で“楽”な撮影だった。

 今年5月下旬から1カ月の中国ロケを敢行。移動に6~7時間かかることもあり、限られた時間の中でリテークを重ねる余裕はあまりなかった。「主役がドーンとしているから(松嶋の)相手方に演出の時間をかけられました。とてもありがたかったですね」と感謝した。

 福澤監督が女優を主演に迎えるのは、松たか子(38)のTBS「広島 昭和20年8月6日」(05年)以来、久々だった。「女性のことがよく分からないというのはありますね。だから今回、ちょっとビビッていたんですが、本当に本当にいい男優のようでしたよ」と、しみじみ語った。“座長”としてドッシリと構え、現場を引っ張った松嶋の“男前”ぶりを絶賛した。

 1日放送の前編。松嶋が兵隊を看護するシーン。「最初から泣くのかなと思っていました。でも、看護師として生きている人間の前で泣くということはしなかった。希代の看護師としての気概を持っていましたね」。脚本に細かい指示はなく、福澤監督も演者に任せた。「普通なら、最初から泣いちゃいますよ。大したものです。恐れ入りました」と最敬礼した。

 松嶋とはTBS「Sweet Season」(1998年1月クール)以来、実に17年ぶりのコンビ。当時、福澤監督はチーフディレクターになったばかりだった。「17年前の印象はデカいな、でした。目立つという意味で、ですよ。昔から大女優の雰囲気はありました」。生まれ持ったオーラに、さまざまな作品で培った技術が加わり、名実ともにトップ女優に成長。その一端が表れたシーンだった。
 
 また1つ、名作を生み出した福澤監督だが「撮り終えたら、忘れるタイプ。作品は人が評価するものだと思います」とサラリ。それでも「あまりスポットの当たっていない従軍看護師の皆さんの苦労をしっかり描けたのはよかったと思います」と手応えを語った。

 3月に中国でロケハンを行い、それを脚本に反映したため、決定稿が完成したのは5月中旬にクランクインする約1週間前。それでも「ドライ(リハーサル)で台本を持ちながら芝居をする人は1人もいませんでした。みんながちゃんとセリフを覚えてきて、そのおかげで撮り切れたという部分はあります」とキャストの力に感嘆した。

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2015年7月31日のニュース