毒舌だけじゃない 中村アン 前髪&派手ワンピは「私のシンボル」

[ 2015年4月7日 09:00 ]

自然体な存在感が魅力的な中村アン

 「清潔感のある女性だね」という褒め言葉はもう時代遅れ!?タレントの中村アン(27)は毒舌&不潔キャラを売りにブレーク。テレビ番組やCM、ファッション誌から引っ張りだこになっている。人気の秘密は――今どきの好感度タレントに会ってきた。

 健康的な小麦色の肌と、ハッキリした目鼻立ち。思わず「ハーフ?」と尋ねると「(芸名の)アンのおかげかな、時々聞かれます。ラッキーですよね」と笑いながら「両親は新潟の佐渡島出身で和風の顔。おじいちゃんが凄く濃いルックスで、その遺伝と思います」と明かしてくれた。

 自身は東京の下町育ち。「深川の八幡さま」と親しまれる富岡八幡宮の裏にある小学校に通った。「高速道路の真下にある小学校。高速の下の運動場で走り回るのが日常の風景でしたね」。さっぱりとしているのは下町育ちだからか。「トロトロはしてないですね。周りもテキパキしてる友達が多いかな」

 かといって毒舌キャラから連想されるトゲトゲしさや、きつさはまるで感じない。初対面でも壁をつくらず、柔らかな物腰で質問に答えてくれる。大きな身ぶり手ぶりや、明るい笑顔もチャーミング。とても話しやすい女性だ。

 毒舌キャラは「(芸能界の)空いた席を狙う」などの発言をきっかけに定着。「部屋をかたづけられない」「髪の毛を3日洗ってない」などの身の回りの不潔なエピソードも反響を呼び、バラエティー番組から次々に声が掛かるようになった。

 今月にスタートしたNHK―BSプレミアム「仮説コレクターZ」では劇団ひとり(38)とともに司会を担当。驚くのは好感度の高さで、CMの契約本数は何と10本に達するという。

 毒舌で不潔なシンデレラ。もともとは「何を取っても普通。特徴がない」という自己評価がキャラづくりの始まりだった。おバカ、ぶりっこ、タメ口…さまざまなキャラがしのぎを削る中、存在感を出せないから次につながらない。仕事のない日々が続いた。「親に反対されて入った世界だったから、本当に肩身が狭かった。社会に出た友達と同じ週5日で働くのが目標でした」

 転機は2013年1月。新しく代わったマネジャーと、その年の方針を話し合って「これがラストチャンス。必死にやろう」と覚悟を決めた。

 「それまでは周りに“あの子、必死だね”とか“痛いね”と言われるのがイヤで、ネコかぶってた。でも、もう次はない、何かしらの爪痕を残そうと、お酒の席で話しているようなことを思い切って言ってみた」。少しでもインパクトを残せるよう、衣装も派手な色のワンピースを選んだ。

 ただ、それは共演者や視聴者の反発を呼びかねない“賭け”でもあった。「一時は発言に対する反響が凄くてどうしようかと思った。でも、それだけ強い印象を残せたとプラスに解釈するようにしました」。自身や周囲の状況を冷静に見極めて、つかんだ成功だった。

 一方で、不遇や逆境を“強行突破”する精神力や忍耐力も持っていた。「体育会系の部活で心身ともに鍛えられたことが大きいかな」と自己分析する。

 高校、大学時代に全国大会で上位常連のチアリーディング部に所属。高校3年の時にはキャプテンを務めるなど、部活に青春をささげた。「練習も先輩も厳しくて本当に地獄でした。でも、プライベートを犠牲にした分、根性とか笑顔とか上下関係とか大切なことを学べた」。そして「何でも勝ち負けで考える」「すべての原動力が悔しさ」という負けん気の強さも、勝利を追い続けた7年間で備わった。

 今、注目されているのはキャラだけではない。ラフに前髪をかき上げた髪形は「かき上げスタイル」と呼ばれ、マネする若い女性が続出している。「髪形と派手な色のワンピースが私のシンボルになった。やり続けることって大切。かき上げ過ぎて前髪の分け目がハゲそうなんですけど」とうれしそうに話す。

 芸能界での居場所は見つかった。それでも立ち止まってはいられない。「どうなるか分からないという危機感の中、生きるのが好き。今は結婚より仕事。この先、何を見つけられるのか、楽しみながらやっていきたい」

 サバサバとした口調で語る潔い言葉が格好いい。若者から支持される理由がよく分かった。

 ◆中村(なかむら)アン 1987年(昭62)9月17日、東京都生まれの27歳。女子中、女子高を経て東洋英和女学院大に進学。09年に芸能界デビュー。現在は、女性ファッション誌「andGIRL」のレギュラーモデルを務める。身長1メートル63。血液型AB。

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