「アナ雪」作曲者は最年少偉業男 姉妹関係も実体験に響く

[ 2014年5月3日 09:33 ]

「アナと雪の女王」(C)2014 Disney.All Rights Reserved.

 主題歌「Let It Go ~ありのままで~」が日本の観客の心もわしづかみにし、映画「アナと雪の女王」が大ヒット中。ミュージカルナンバーを作詞作曲したのは米作曲家ロバート・ロペス(39)クリステン・アンダーソン=ロペス夫妻。今年3月、第86回アカデミー賞歌曲賞を受賞。これにより、ロバートはエミー賞(テレビ)グラミー賞(音楽)トニー賞(演劇)とともに4冠を制する偉業を成し遂げた。制作秘話を明かすロペス夫妻は、ディズニーアニメ史上初となるダブルヒロインの姉妹が繰り広げる物語が、2人の娘を持つ実体験に響いたことを語った。

 エミー賞(Emmy)グラミー賞(Grammy)アカデミー賞(オスカー=Oscar)トニー賞(Tony)を受賞することは、その頭文字から「EGOT」と呼ばれる。ロバートは2010年「The Wonder Pets」でエミー賞、12年「ブック・オブ・モルモン」でグラミー賞、04年「アベニューQ」でトニー賞を獲得。いわば音楽界のグランドスラムは、過去11人しかいない快挙。ロバートは史上最年少39歳にして達成した。夫妻はオスカー獲得に際し「すべての人に感謝したい。ありがとうございます」と短いコメントに喜びを込めた。

 ロバート「僕らは他の作品で数年、ディズニーの仕事をしていたんだ。(今回の製作)ピーター・デル・ヴェッチョと出会って、彼と一緒に『くまのプーさん』をやった。全く違うタイプのプロジェクトだったけれど、僕らと一緒に働いたことを彼が気に入ってくれて『アナと雪の女王』のアート画でいっぱいだった部屋に迎え入れられたんだ。約1年半前の当時、作品としてはまだ今とは違うものだった。主人公の2人の女性が子供だったころのアート画があり、2人の姉妹が離れ離れになってしまう話を説明してくれた。最初はとても親しかった2人が、全く離れ離れになってしまうという物語さ。そのストーリーに感銘を受けた僕らは、この感情あふれる作品をぜひやりたいと思ったんだ」

 映画は、アンデルセン童話の傑作「雪の女王」にインスピレーションを得て、運命に引き裂かれた姉妹を主人公に、凍った世界を救う“真実の愛”を描く感動作。触れるものを凍らせる“禁断の力”を持つ女王エルサは、その力を抑えられず、真夏の王国を冬に変えてしまう。“雪の女王”となった姉と王国を救うため、妹のアナは雪山の奥深くへと旅に出る。  

 クリステン「そのアート画は、姉の少女が雪を宙に投げていて、妹がそれをみて『わぁ!』となっているものだったわ。それが親である私たちの心に触れたの。私たちには8歳と4歳の娘がいるの。あの年齢の子供は、自分のお姉さんをマジカルだと感じるものだし、バラバラになってしまうときの様子、つまり姉が『私には1人でやりたいことがあるの!』と言ってドアをバタンと閉め、妹は目の前で閉められたドアをノックするという様子は、実体験として私たちの心に迫るものがあったわ。それから、そういう傷が癒えて姉妹がまた仲良くなるときのパワーもね。私たちはすっかり夢中になって、胸を躍らせたわ。だからこのストーリーが1つにまとまった時は本当にうれしかった」

 ――曲を作る時は歌詞が先?

 ロバート「どんな歌詞になるか知っておく必要はあるけれど、歌詞とメロディーを同時に作るよう努力しているんだ。自分が作っている曲についてのコンセプトがある。歌詞を書き始める前からね。同じ系統の他の歌を聴いて、ある種のアイデアを得る。伝統に触れることで、そこからちょっとした情報を得るんだ。でも、おそらくは歌詞がこの曲の中で一番重要な側面だね。なぜなら、それがキャラクターの発する言葉だからさ。歌詞は数多くの話し合いや試行錯誤の中から生まれるんだ」

 ――この映画のために作ったすべての歌について、全体的なイメージを持っていた?1つのルールや指標として、常に頭に置き続けたものは?

 クリステン「最初のスクリーニング(試写)で確かに1つのイメージがあったわ。それは離れ離れになった2人の少女のイメージよ。小さな妹がドアをノックしても姉のエルサはドアを開けてあげない。そのイメージが私たちに『歌にするべきはアレだ』と思わせたの。あれこそ歌にすべき、あのドア、それは姉妹にはよくあることなの。片方が目の前でバタンとドアを閉じられ、開けてもらえないという光景は、2人の娘を持つ親として、そのドアのどちら側の少女についても、どういう気持ちになるものなのかよく理解できるわ。片方が『もうあなたとは話せない!』みたいになり、もう1人は『お願いだから、一緒に遊んで!』とね」 

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2014年5月3日のニュース