中村登監督「エデンの海」 幻のフィルム見つかる

[ 2013年10月2日 07:59 ]

 1950年の公開後にフィルムが行方不明になっていた中村登監督の映画「エデンの海」(鶴田浩二さん主演)の上映用フィルムが現存していたことが2日、分かった。

 中村監督は今年が生誕100年に当たり、幻のフィルムが日の目を見ることで、再評価の機運が高まりそうだ。

 映画の舞台となった広島県竹原市の忠海町コミュニティづくり推進協議会が97年ごろ、廃棄対象だったフィルムを業者から入手し、保管していた。フィルムは劣化が進んでいたが、今夏に松竹が修復してデジタル化した。CSチャンネル「衛星劇場」で放送される。

 「エデンの海」は、作家の故若杉慧さんの同名小説が原作。瀬戸内の女学校に赴任してきた教師と生徒の恋愛を描いた青春映画で、鶴田さんと藤田泰子さんが主演した。その後、西河克己監督によって2度リメークされ、76年版は山口百恵さんが主演した。

 81年に67歳で死去した中村監督は戦後の松竹で活躍した監督の一人で、「古都」「智恵子抄」が米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。今年のベネチア国際映画祭では「夜の片鱗」が上映された。

 同協議会は「世の中に1本しかないフィルムだとは思わなかった。終戦後の忠海の風景が映像に残されており、宝物です」とし、松竹は「記念の年に紹介できることで、中村監督の顕彰につながれば」と期待している。

 放送日は3日、12日、30日。問い合わせは衛星劇場、電話03(5250)2323。

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2013年10月2日のニュース