入川保則 がん全身転移…余命半年も延命治療拒む

[ 2011年3月9日 06:00 ]

がんの症状を語る入川保則

 「部長刑事」「水戸黄門」などに出演し、名脇役として知られる俳優の入川保則(71)が8日、都内で会見し、直腸がんのため余命半年であることを明らかにした。昨夏にがんを宣告されるも、延命治療を受けずに役者人生を全うすることを決断。迫り来る死を前にしながら、「格好良く旅立っていきたいね」とサラッと言ってのけた。

 昨年7月、舞台公演で沖縄を訪れた際に脱腸となり、その後の検査で肛門から10センチのところに腫瘍が見つかった。切除手術を受けたものの、がんは全身に転移、進行している状態。だが「芝居をしたいから」と延命治療を拒否。昨年末まで舞台公演をこなし、今年1月中旬に「だいたい余命は6カ月」と医師に宣告された。残された命は「8月いっぱい」という。

 一部で余命半年と報じられた後、前川清(62)ら友人から電話が来たが「みんなオロオロしてるんで、逆に僕が一生懸命“元気だよ”って励ました」と笑う。「年も年だし、寿命ですから。人生にいつか死は訪れる。いつ訪れても慌てない」と、気遣うリポーターを諭すように話した。

 「延命はできますけど、時間がかかるほうが困る」「これで僕が死ななかったら、世界的詐欺師と思われることが一番怖い」などと、報道陣に冗談を飛ばした。すでに葬儀の準備も済ませ、最期を過ごすケアハウスまで予約済みだ。

 芸歴55年。高校時代に芝居に目覚め、神戸の「劇団道化座」に入門。名脇役として、ドラマ、映画、舞台を支えた。「役者とは?」と問われると少し考えて、「自分の精神をいじめ抜かなきゃできない。本来、凄い厳しいものです」と話した。

 私生活では3度の結婚、離婚を経験。04年に元アイドルのホーン・ユキ(60)と離婚した後は1人暮らし。「もう一度結婚したかったな、それだけが心残り。僕は結婚マニア」と笑わせ、「恋は今もしてます。画面の中のAKB48にね」と色気はまだまだ健在だ。

 仕事は「4月いっぱいで切り上げたい。最後に映画を1本撮らせてもらいたいと思ってます」。詳細は未定だが、文字通り、自らの俳優人生の集大成となる一作だ。

 ◆入川 保則(いりかわ・やすのり)1939年(昭14)11月10日、神戸市出身。関西学院大中退。時代劇や刑事ドラマを中心に活躍。NHK大河ドラマには、65年「太閤記」、83年「徳川家康」など8本出演。05年に大阪市内に俳優養成所「入川塾」を開設。

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