[ 2010年6月5日 06:00 ]

専門知識に偏らずに多くの人にクラシック音楽の魅力を伝えた音楽評論家の黒田恭一氏(C)竹原伸治

 ショパンのメモリアル・イヤー向けて黒田氏が発案し構成や台本の執筆まで手がけていた遺作ともいえるコンサート。Bunkamuraオーチャードホールでは、99年からプロデューサーとして数々の企画を手がけてきた黒田氏の一周忌(5月29日)を終えたタイミングで生前の功績を顕彰するような公演を検討。その結果、黒田氏自身が最後に書き残した台本をベースにショパンの記念コンサートを開催する運びとなったもの。

 合わせて、この台本はNHKでも漫画家・池田理代子さんが再構成した上でBShiの番組、プレミアム8「読まれなかったフレデリックへの手紙~ショパンを愛した4人のオマージュ~」として放送される(7月6日後8:00~9:30)ことが決まっている。
ショパンとサンドが知り合ったのは1836年、パリの伯爵夫人(リストの愛人)のサロンだったとされる。当時、ショパンは26歳。ポーランド人貴族令嬢と婚約中だったが、翌年に一方的に婚約破棄され失意のどん底に陥った。それを癒したのが感性豊かで個性的だったサンド。2人は38年から9年間にわたって恋人関係にあった。彼女との交際がショパンに一層の霊感をもたらしたのか、この間、「24の前奏曲集」「英雄ポロネーズ」「舟歌」など、この作曲家の代表作ともいえる傑作が数多く作られている。作曲家人生の豊穣をもたらしたこの交際も1847年に終焉を迎え、ショパンはその2年後の秋にパリで死去している。

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2010年6月5日のニュース