「ヨン様」は今は昔…韓流人気の主役はオヤジに

[ 2009年1月26日 08:28 ]

 韓流時代劇は“オヤジ”がはまる―。2004年にNHK総合で放送された「冬のソナタ」で、社会現象になった韓流ドラマ。その後ブームが沈静化したかにみえる中、実は人気の軸は恋愛ドラマから、英雄の骨太の人生を描く時代劇へと移っている。「ヨン様」に熱狂したおばさまに代わり、人気を支えるのが中高年男性だ。

 昨年末、川崎市内のDVDレンタル大手「TSUTAYA」の川崎駅前店。高句麗建国の英雄を描く韓流時代劇の人気作品「朱蒙(チュモン)」の最終話DVDが目当ての中高年男性客が次々と来店した。
 横浜市の小島誠一さん(61)は「パターン化した日本の時代劇と違い、剣術の動き一つとっても面白く、男のぶつかり合いがある。サクセスストーリーとはいえ、物語に起伏があって主人公は常に苦悩し、最後に1、2度ハッピーになる程度。それでも見るのは脚本が良いから」と話す。
 川崎市の男性(50)も2年前から、渤海を建国した実在の英雄を描いて韓国で高視聴率を記録した「大祚栄(テジョヨン)」などを見続けてきた。「登場人物が人間的で面白く描かれていて、はまった」。今は韓国語も勉強している。
 2人とも、05年からNHK総合で放送された時代劇「宮廷女官チャングムの誓い」を見たのが、ファンになるきっかけ。韓流ドラマに詳しいライターの小田香さんによると、韓流ファンの妻が見ていたこのドラマをのぞき見て、時代劇の奥深さに目覚めた男性が多かった。この作品が男女の橋渡し役を果たし、韓流は変化を遂げたという。
 TSUTAYAによると、映像作品のレンタル売り上げ全体に占める韓流ドラマのシェアは昨年11月現在で約12%。前年比約20―30%の伸びで「韓流ブームは落ち着いたように見えて実は拡大している」という。中でも時代劇が急伸し08年は前年の約3倍。6%増の女性に対し男性は45%増と顕著で、男女とも50―60代が増えた。
 「朱蒙」が07年に民放で放送されると男性に口コミで拡大。08年にNHK総合で放送したペ・ヨンジュン主演ドラマ「太王四神記」で男女比が並び、武将同士の心理戦が熱い「大祚栄」でついに逆転した。
 ホームドラマ化する日本の時代劇に対し、韓流は数十―百数十話にわたり戦略が絡み合い合戦シーンも迫力満点。時代劇ブームの韓国で作品が次々と制作されていることからTSUTAYAは韓流コーナー拡大を目指す。
 小田さんは「韓流時代劇は長くても波瀾万丈で、常に先が見たくなる。きちんとした骨格のある物語が、中高年男性を引きつけるのだろう」と分析している。

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2009年1月26日のニュース