東京大空襲 TBSがドラマ化

[ 2008年2月7日 06:00 ]

 1945年(昭20)の東京大空襲をTBSがドラマ化する。「東京大空襲(仮)」(後9・00)として、空襲から丸63年にあたる3月10日に放送。当時、警視庁から現場撮影を命じられた警察官の石川光陽さん(故人)を仲村トオル(42)が演じるほか、約80人の“歴史の証人”を取材して空襲の真実に迫る。

 死者10万人ともいわれる東京大空襲。当日の東京の写真は、石川さんが撮影した33枚しか残っていない。現場の混乱に加え、軍から撮影禁止令が出ていたためだ。石川さんは警視総監の特命を受け、地獄絵図の首都をフィルムに収めた。

 ドラマは、この33枚を通して見た1945年3月10日の東京と、戦後GHQにネガ提出を要求されながらも、守り抜いた石川さんの姿を中心に描く。

 仲村は「自分も含め、もっと知るべきだと思った。この経験、記録を知ることは(悲劇を)繰り返さない国、世界になるためにムダにはならない」と話す。空襲と焼け跡のシーンは茨城県の製紙工場跡地など3カ所に当時の日本家屋を建て、実際に燃やして再現。最新のCG技術も加え、胸をえぐるシーンの連続となっている。

 演技とドキュメンタリーで構成し、生存者のほか、B29で焼夷(い)弾を東京に落とした米兵ら約80人を取材。番組プロデューサーの島田喜広氏は「どちらが悪、犠牲者と単純に割り切れない戦争の現実を伝えたい。あの日に東京で起こったことに迫るのが最大のテーマ」と強調する。命懸けで記録を後世に残そうとした石川さんにスポットを当てることで、空襲に至る日米の事情にも重層的に迫る内容になっている。

 番組の放送翌週の17、18日には日本テレビも、東京大空襲を扱ったドラマを放送する。東京大空襲をめぐっては、昨年3月に負傷者と遺族ら112人が、国に対して総額12億円の損害賠償と謝罪を求めて集団提訴。同局の報道番組で取材にあたった島田氏は「当時を知る人がどんどん亡くなり、今やらなければ真実が埋もれて風化してしまう」と危機感を感じたそうで、今回の企画の原動力になったという。

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2008年2月7日のニュース